恋を彩る音楽達【特撮短編集】

乾巧×CHE.R.RY ページ26

宣伝失礼します！クリスマスに一気に完成する短編集の予告を作りました。詳しくはこの作品を是非見てください。進捗がヤバすぎて本当にリクエストじゃない短編を書いている場合じゃありません。でも書きます。クリスマスの一夜城【特撮短編集】
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CHE.R.RY/YUI

春の夜風は良い。ベランダの下には桜の木が見えて、ひらひらと明かりに照らされながら花弁を散らしている。そして私はまた、携帯に目を落とした。それは最近知り合ってメル友になった乾巧という青年がくれたメール。慣れないはずなのに「同居人から絵文字も使えって言われたから」と可愛い理由付きで、最後に絵文字が一つだけ入っている。苦手だったはずの絵文字も、彼からのとなるとワクワクするから、不思議だ。

私の送ったメールは読んでくれたかな。読んだらすぐにわかる機能とか、いつか未来では出来るのかな。出来るといいな。あ、でもその頃まで乾さんがメル友かはわかんないか。

桜に目をやった。この部屋から見える景色を全部、今、乾さんが見ている世界と10秒取り替えて欲しい。でも、それより欲しいのは、乾さんからの1行。嘘でもいいの。それくらい、欲しい。

更新をかけると、ピコン、とメールがやって来た。それだけで嬉しくなって、慌てて新着を見る。

『Aへ
花見、いいな。俺も店が落ち着いたら花見に行きたい』

そんな書き出しから始まるメールを全部読んで、そしてもう何度か読み返して、急いで返信を書いた。また最後に1個だけ絵文字があって、乾さんの葛藤が見える。
返事はすぐにしちゃダメだって、友達が言ってたけど。……好きだから。

恋、しちゃってる。たぶん。気づいてないかもしれないけど、私は乾さんが好き。

いつかこの恋が成就しますように。でも今は、この関係が続きますように。そんな祈りを込めて、星の夜、春の冷たい夜風にメッセージを預けて飛ばした。

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