恋を彩る音楽達【特撮短編集】

飛電或人×愛唄 ページ17

愛唄/GReeeeN

高級ディナーなんて俺らしくないから、場所は家にした。いつも通り2人で作ったご飯を食べて、だけどお肉はちょっと奮発した良いものにして。取引先からの貰い物の高そうなワインを飲んで、そして食べ終わった頃に、「聞いて欲しい事があるんだ」なんて言ってみて。台本代わりの手紙を取り出し、俺はAに話し始めてた。

「大好きなAへ」

この書き出しは、ちょっと恥ずかしいな。

「笑わないで聞いてください。あ、いやでもちょっとは笑ってください。……俺はAを愛してます」

クサイ台詞だけど、この言葉が1番しっくりくる。当のAはと言えば、「似合わないなぁ」とおかしそうに笑ってくれた。その顔も、とっても愛おしくて。

「初めて会った時、何を話してたか覚えてる？ よそよそしくて、まさかあの時の人と付き合うなんて思ってもいませんでした」

「覚えてるよ。芸人やってるんだ〜、なんて当たり障りの無いこと話してたよね」

そうだったけ。そうだったかもしれない。
まぁ、そのくらい距離感があった。友達の友達っていうくらいしか接点が無くて、趣味もバラバラだったから。

「あれから色々あって、たまには喧嘩もして。分かり合う為の時を過ごしたね」

うん、とAは頷く。

「いつも迷惑かけてごめん。俺が突然飛電を任されても、戦うことになっても、隣に居てくれてありがとう。最近は密度の濃い時間が多くて、それでもAが隣にいてくれたからここまでやってこれました」

何かある度にAを思い出して、そして信じてくれる人の重みを知って。2人で日々を刻むにつれて、想いはますます膨らんでいった。

「ヘタクソな言葉でごめん。でも、めちゃくちゃ好きなんだ。神様にも誓えるくらい。……声が続く限り、Aが好きだって言い続ける。歳を取って声が枯れてきたら、代わりにずっと手を繋ぐ」

だから、と言って俺は深く息を吐いた。
椅子から立ち上がってAの脇にしゃがみこんで、片膝をついて。そしてポケットにしまっていた、小さな箱を開けた。

「俺と結婚してください」

ただ、泣いて笑う日々に君と隣同士立っていたい。それが、君と生きる理由になるから。悲しみも喜びも、全てを分かちあっていこう。何度も来る夜を超えて、Aと居たい。

結婚、してください。

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