恋を彩る音楽達【特撮短編集】

ウラタロス×恋愛裁判 ページ16

恋愛裁判/40mP

「ごめん！ 魔が差して……」

「信っじられない。サイテー」

最初に。この件で悪いのは、残念ながら100対0で僕だ。
良太郎の体を借りて女の子と浮気をした。いや勿論、僕の心は彼女であるAちゃんの物だけど。本当に遊びだった。この言葉には嘘は無い。
Aちゃんは僕をキッと睨む。

「そんな目で見ないでよ〜。ね？ 今回だけだから」

「は？ なにその態度。ウラタロス、自分が怒られてんの分かってる？」

「今回だけ見逃して！」

「どーせ私にバレてないだけで初めてじゃないでしょ」

……実はその通りだけど、ここは嘘も方便。あくまで今回が初めてだと言うことにしておく。しかしそれでもAちゃんはイライラしてるみたいで、証拠となる写真を僕に突きつけた。

「もう別れる」

無情にも告げられたその言葉に、は、と思わず言葉を失った。Aちゃんと別れる？ こんなに好きなのに？

「それは出来ないよ！ Aちゃんに振られるくらいなら、Aちゃんの手で僕を」

「そういう言葉には騙されないから。本当に反省してるのかもわかんないし」

マズイマズイマズイ。最悪の事態だ。Aちゃんはかなり本気みたいで、写真をぐしゃりと握りながら、瞳をだんだんと潤ませる。その姿に一瞬固まり、酷く胸が痛んだ。
確かに僕が悪いとはいえ、本当に好きなのは彼女だけだ。誓って言える。Aちゃんと別れるなんて考えられない。だから涙が零れそうなだけでこんなにも背中に汗が流れるし、今までの調子も無くして慌ててしまう。え、とか、ごめん、とかしか口から出ない。

「あ、泣かないでよ、本当に僕が悪かったから」

「あったりまえでしょ」

「ごめん！ 本当に！」

「っ、ぅ、」

とうとう溢れ出した涙を、Aちゃんは服の袖で目元を抑えるように拭った。可愛いピンクの生地が、涙で色を変えていく。泣く、なんて姿を見せた事ないAちゃんの涙だからか、それが落ちる度に僕の心にもズンと重いものが乗っかって。

「本当にごめんなさい。もうしない」

心から謝った。こんなにこの子を泣かせるならもう辞めよう。僕の1番はこの子だから。

「ほんと？」

「本当に」

Aちゃんは、ゆっくりと僕に近付いた。それだけで意図を察せて、その華奢な体に腕を回す。僕の背中にも腕が回され、相手の鼓動まで聞こえるみたい。

その涙が嘘で、Aちゃんがニヤリと笑ってるなんて。僕は思いもしなかったけど。

飛電或人×愛唄→←海東大樹×深海少女 (ﾘｸ)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す