恋を彩る音楽達【特撮短編集】

左翔太郎×モニカ (ﾘｸ) ページ12

女の子側が割と最低です。そして会話文がありません。素敵な曲だったのにこんな感じなので先に謝ります。すみませんでした。
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モニカ/吉川晃司

目線の上を通る高速道路の壁は白く輝いていて、昨夜のスコールが嘘みたいだ。決別を決めた覚悟の息なのか、ただ物悲しさから来る息なのか。わからないがそんな長い息を吐き、俺はヘルメットを被った。シールド越しの街は、淡いブルーに染まっている。

Aとは、そこそこ上手く恋人で居られたと思う。メールもお互いよく送っていたし、週に何度かは夜電話もする。休みが合えばバイクであちこちに連れ出した。
腹に回される腕の感触も、未だに思い出せる。髪がなびく様子も、唇の感触も、未だに全部思い出せる。

昨日の夜の事だった。真夜中の事だ。
外をバイクで走っていた俺は、急なスコールに見舞われていた。そこで偶然止まった時、バックミラー越しに見てしまった。

Aが、男と赤い電話ボックスから出てきたのを見たのは。道路の向こうで、ビーチパラソルが揺れていたのを、何故か鮮明に覚えている。

正直な感想は、「あー、またか」だった。
俺の女運はかなり悪く、俺が惚れた女は軒並み怪人だったり人から恨みを買っていたり。つまりは悪女だった。
だからこのくらいのこと、正直そんなにショックは受けなかった。

浮気かどうだったのかは知らない。ただかなり距離が近かったのと、俺の女運の無さから。なんとなく2人の関係性は分かってしまって。

夏真っ盛り。8月の街を見据える。
風都の程近くにあるこの街を知ったのも、Aが居たからだった。2人で思い出を重ねた街は、ダイアモンドのようにも見えた。Aのせいだ。

アクセルをふかす。
バイクが動いて、スピードが出始めて。
俺は、この街を去る。

おやっさんが昔言ってた。「別れはいつも始まり」だと。

なぁA。幸せになれよ。俺に思い出をありがとな。
お前の気持ちが嘘だとしても、良い時間だった。恋も悪くないなって思ったよ。恨み言なんか言わねぇぞ。ハードボイルドな男っつーのは、別れる時は綺麗さっぱり手を離すのさ。

この街にも、Aにも。さよならだ。

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