嫉妬彼氏×猫系彼女［黒尾鉄朗］

1.不等号式 ページ2

〈黒尾side〉

俺には愛おしい彼女がいる。

猫宮A。その名の通り、猫みたいな彼女は

自由人でわがままで気分屋だ。

それにいつも振り回されてる俺は本当に可哀想。

Aったら俺じゃない男子と遊びに行ったりするんだぜ？

しかもバレー部2年。お笑いCD貸し借りしたり、ケーキ屋に行ったり、ゲームセンターに行ったり……。俺も連れてって！

あ、山本は論外な。

とまあ、彼女がそんなふうに自由に生きている限り俺は毎日毎日嫉妬に悶えている。



でも、好きなんだよなぁ。


甘えてくる時の瞳とか声とか、着痩せしてるけど本当は抱き心地が最高なとことか、

なんだかんだ言って俺の事を1番に考えてくれてることとか……。挙げだしたらキリがない。

だからどんなに嫉妬に苦しくなってもAと別れようだなんて思ったことない。



でも、今のこの状況は流石の黒尾さんでも堪忍袋の緒が切れそう。

だって、俺のベットの上でAと研磨がゲームしてるんだぜ？ ベットの上で！

まあ、研磨には下心なんてないと思うけどな。

はぁ。ほんっとにこの2匹の猫には困らせられることしかない。

「あ、あ、あ、あ！ ちょっと研磨！ そこでぶつかる！ ？ あーっ！ 最後尾だよおおお。」

「だって邪魔。」

「邪魔じゃない！ 」

なんのゲームだかしらねぇが、どうしたらそんな声が出んだよ。それに研磨のその冷静さ。黒尾さんにも分けて欲しいわ。

「……ちょっと2人とも？ 」

これ以上は流石に見てられない。

「てつろー、今ダメ。研磨に負ける。」

「Aは俺に勝てない。」

どうやら今の彼女は

ゲーム＞研磨＞＞俺 らしい。

はぁ。


✱


あれから約2時間。やっとゲームが終わったらしく、研磨は家に帰って行った。

「てつろー？ おーい。」

だから今は2人きり。

でも、さっきAは俺を放ったらかしだったから、今度は俺が徹底的に無視してる。

え？ 大人気ないって？

だって俺ばっかりこんな思いするのやだもん。

「ねえてつろ。どーしたの？ 」

っ。馬鹿かこの猫は。この状況で俺の腰に抱きつくとか……はぁ。

「別に。」

「別にじゃないでしょ？ ねぇかまってよー。寂しいよー。」

でた。Aのデレ期。その声ダメだってば。

「ちょ、離れろ。」

「なんで？ やだ？ 」

と言ってコテンと首を傾げる彼女は本当に小悪魔。

「やじゃない。」

「でしょ？ ふふ。よかったぁ。」



……俺は一生Aに勝てない。



でもそんな彼女が大好きだ。

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