美男子彼氏×美少女彼女 [及川徹] (ページ6)

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〈及川side〉

はぁ。

結局抜け出してしまった。

今は誰もいない使われていない部屋にて1人反省中。

ああ、俺のバカ。最後まで見るって決めたじゃん。

Aになんて言えばいいんだろう。

でもあのまま見ていたら、俺が俺じゃなくなってしまいそうで……ステージの上まで行ってAを奪ってしまいそうで……。

怖かった。

そんなことしたら折角の彼女の晴れ舞台を壊してしまう。

「はぁ。」

今日何回目かわからないため息が宙に浮かんで消えた。

✱

「ん……ん？」

気がつくと時刻は既に劇が終了している頃だった。

「寝てたのか。なにやってんだろ、俺。」

今年で最後の文化祭。こんなに辛くて苦い思い出になるなんて想像もしてなかったよ。

「とりあえず、岩ちゃんとこ行こ。」

うん。そうしよ。んで慰めてもらおう！

この時間だと確か岩ちゃんは仕事休みだよなぁ。と思いながら重いドアを開けると

「はぁはぁ……やっぱりいた。」

「え、A？」

そこにはあの衣装のままのAが息を切らして立っていた。

「ど、どうしたの？」

「どうしたのじゃない。なんで途中でどっか行くの？」

あ、やば。怒ってる。怒りのオーラが見える。

「ごめん。」

「だって最後まで見てくれるって約束したじゃん！私一生懸命やったのに！最後、だったのに……。」

Aは怒りながら目の淵に涙をためていた。

その姿はあまりにも綺麗で今にも消えてしまいそう。

ほんっと。俺なにしてんの？大切な彼女泣かせてなにになるわけ？

この馬鹿が。

「ごめんっ！」

溢れてくる感情とAのその儚い姿を見ていてもたってもいられなくなった。

「ごめん！ほんとにごめん！最後まで見るって約束したよね。ごめんなさい。」

俺はそう言いながらAを強く強く抱きしめた。

「え、徹？」

彼女は俺のとった急な行動に戸惑っているけど知ったこっちゃない！

「あのままだと俺。Aの邪魔になるって思って。だって葵が。Aを……。」

やばい。

…………情けないなぁ。