美男子彼氏×美少女彼女 [及川徹] (ページ3)

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2.美少女の日常ページ3

〈及川徹side〉

「成功したいから。高校最後だし。」

Aは演劇部主将で、よく主役を演じる。つまり色んなやつとのラブシーンが増えるってこと。

俺はその相手役を許さないし、Aは俺のものだから誰にも触れさせたくない。

でも、彼女は文化祭が終われば引退することになっている。

それにAが演劇に込めている思いもわかっているつもりだ。

そんな悲しそうに、でも芯のある目で真っ直ぐ見られたら、なんにも言えないじゃん。

「はぁ。まったく。Aは俺を困らせる天才かなー？」

「ごめん。徹の言い分もわかるし、徹が他の女の子とキスするなんてやだ。さっきの告白も本当はやだ。

徹は私のもの。それで私は徹のもの。

だから誰とキスの真似をしようが私が好きなのは徹だけだよ？」

……素で言ってるからほんとに困る。そんな可愛いこと言われたら抑えられないよ。

「俺はAのものだよ。それでAは俺のもの。

うん。そうだね。

じゃあ台本練習しよ！」

「うん。」

久しぶりのAのデレは結構くるな。

“たまに魅せるデレは最強”

台本読みを始める。その瞬間からAを纏う雰囲気が変わった。

まずは彼女のセリフから。

「あなたはいったい誰なの？本当のこと言って！」

「本当の僕？本当の僕は、えっと、その…。ホントはぼくは、時々庶民の格好をして退屈な宮殿から抜け出してたのさ！だから王子っていうのは、本当なんだ！」

「どうしてだまってたの？」

「だって、王子が庶民の格好をして城を抜け出すなんて、変わり者だと思われちゃう。」

「ふふっ……全然変じゃないわよ。」

セリフを読みながら蜜に笑う彼女はとても色っぽい。これを俺以外にやるのか……。

「おやすみ、素敵な王子様。」

「おやすみ、王女様。」

この後、キスシーン。もちろん練習だからAはなにもするつもりはなさそうだけど俺はある。

Aに顔を近づけ彼女の顎を優しく持ち上げた。

「愛してるよ。俺だけの王女様。」

「え、」

『ちゅっ。』

「馬鹿っ！調子のんなし！」

「えーなんで？キス気持ちかったでしょ？」

「う、うるさい！」

照れちゃって。かわい。

「台詞がくさい。無理、虫唾走った。」

「またまたぁ。」

頑張ってツンツンしてる。ああ。可愛い。

「……徹。私この劇やる時、相手役のこと徹だと思ってやるから。」

「え？」

それって……。

Aは顔を赤くして逃げて行ってしまった。

“一枚上手”