美男子彼氏×美少女彼女 [及川徹] (ページ12)

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6.夢ページ12

〈岩泉side〉

『最新ニュースをお届けします。

最年少で“日本アカデミー賞主演女優賞”を獲得

天神Aさん…………。』

殺風景なリビングに1つ。

遠慮気味に置かれたそのテレビには、同級生のAが映し出されていた。

たくさんのフラッシュを受け微笑む彼女は、昔と変わらない整ったそして芯のある瞳でインタビューを受けている。

俺は今、警官という職に就いている。

"戦う時は倒す"なーんて、どっかのクソに言っちまったけどバレーはもう5年ほどやっていない。

それが嫌だとか、プロになりたいとか今更なんにも思わねぇけど

まあ、あの時期が1番楽しかったかもな。

そんな俺の自慢の相棒は今、プロだ。

笑っちまうけどよ。まあ、ぜってーなるだろうなとは思ってた。

確かあいつは今どっかの国と練習試合だとかで海外に飛んでやがる。だからこのニュースを知らない。

ざまあみろこの野郎。

高校卒業後もあんなに毎日Aに付きまとってたからバチがあったんだ。

そりゃあいつは彼氏だから当たり前っちゃ当たり前だけどよ。

テレビではもうAの話題が終わり、薄汚い悪の塊のような政治のニュースに変わっていた。

こんな暗いものをこの日本が抱え込んでいることを考えたら、俺らは相当幸せもんなんだろうなぁと思う。

俺ら3人は小さい頃からずっと一緒にいた。まあ言うところの幼馴染みだ。

そして1人の女の子に2人の男の子が恋をした。

その女の子は片っぽうの男の子と愛し合った。

たったそれだけだ。俺が選ばれなかった。そんな単純な話。

だから俺は及川が嫌いだとかそういうんじゃない。

2人がこの先も幸せになればいいんじゃねえのかなと思う。いや、ほんとに。

まあ、及川がAを泣かせた日には息の根を止めてやる。

"戦う時は倒す"だかんな。

久しぶりにこんなことを考えてしまった。……たまにはいいか。

俺はぐっと背伸びをしてテレビを消し、上着を羽織りながらドアを開けた。

また、いつもの日々が始まろうとしている。