02.スマホだけかい！お金頂戴よ！ ページ3
とりあえず、都心の大きな通りに出る。
実家とはいえ、それは都内にある。
「なんかないかなー」
ポケットとか何か入ってないか、手探りで探す。
ん？と、何かに当たった気がした。
「…スマホ。」
…ああ、そうだ今流行りの「パケモンＧＯ」で歩数を稼いでたんだ。
「じゃなくて！」
お金があればタクシーに乗れるし。
そっからいとこの家でも親戚の家でも！なんなら都内にあるお祖母ちゃんの家にも行けるのに！
９月１日。
９月の始まりの日。
今日。私は家出しました。
・
「ていうか、さっむい」
夏終わりとはいえ、昼間は温かかったはずだ。
なのに夜になれば、半袖な私にはキッツイ。
「罰ゲームか」と突っ込みたくなるくらいだ。
…体を動かせば少しは温まるのではないか、と閃きウロウロとそこらを歩き回る。
…これでこそ「パケモンＧＯ」の歩数も稼げるだろ、と安堵の表情になったであろう私は、この後のことを考えていなかった。
・
都心のほぼド真ん中。
かれこれ３０分は歩いたんじゃないか、と苦笑いも出てきそう。
…今頃、家庭では夜ご飯の時間だろうと、しみじみ思った。
「しじみの味噌汁、飲みたいなー」
しみじみと。
はあ…と息を吐きだせば、それは儚く舞い散って落ちていった。
「どうしたらいいんだろう、私。」
これからホームレス生活かな、段ボールで寝るとかあるのかな。
と思うと、身震いがした。
・
03.ま、ま、松本潤？！→←01.夏終わりだけど、どこか暖かい日
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作者名：成瀬
| 作成日時：2016年11月3日 10時
