14.梨の妖精 ページ15
・
母「おそ」
「ごめんさい」
早速毒舌な母親。
ちょっと道草くって遅れただけでしょ、気にしなくたってよろしいでしょうに。
母「で、はいこれ。重いわよ」
はいはい、と受け取ると予想以上の重たさ。
「…おもたっ！よく持ってこれたわね」
母「母は強し、…いい運動になったわー」
淡い黄色の紙袋をちょっと覗くと、服と通帳がここから見えてその奥には黒と紺の私の財布が見える。
・
首をコキコキやってるのは間違いなく私のお母さん。
…あれ、こんな人だったっけ。
今年５０歳だよ。
「…あ、じゃあそろそろ…」
母「ええ、私も今時間ないから。また連絡よこしなさいね。」
「わかってまーす、じゃあねー」
ホッと肩を撫で下ろす。
良かった、誰と住んでるかは聞かれなかった。
お母さんが小さく手を振るのと同時に、それぞれに別の道を歩みだす。
変にお母さんに捕まらないように……、早歩きで先を急ぐ。
…まだ、やる事があるもんね。
ある程度歩いたところで後ろを振り返ると、お母さんの背中が小さく映った。
「ふぅー、…買いに行かないと。誕生日だったって言ってたもんね」
・
潤『お、同い年だ。僕も２８です、つい先日誕生日を迎えましてね。』
・
潤くんのお誕生日プレゼント、買いに行かなくちゃ。
・
一旦家に戻り、重たすぎる荷物から財布と使い慣れたバックを取り出して、また出かける。
よく行く雑貨屋さんにお邪魔させてもらって、また悩む。
「…何が好きなのかなー」
そう、一つ言葉を零してスマホで「松本潤 好きなもの」と、検索。
「…ゆるキャラ、…ふなっしー？」
ふなっしーが好きなんだ、と笑みが零れた。
人形と、ストラップ。
買おうと。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2016年11月3日 10時
