Case.250 ページ6
「えーと…それで、Aさん?失礼ですが、うちの一番弟子とのご関係はまさか…?」
さすがの毛利小五郎も、僕達の雰囲気で察したらしい。伺いを立てる先が僕ではなくAなのは、杞憂であってほしいという彼なりの最後の抵抗だろう。
が。
「ええ、付き合ってるわ」
「や、やっぱり…!?」
さらりと答えられて、抵抗は脆くも崩れ去った。
「あー、…安室君」
「はい?」
「…その、すまん」
気まずそうに目を逸らしてはいるが、その素直さに免じて深くは追求すまい。
「…いえ」
貼り付けた笑顔は、微妙に引き攣った。
話が落ち着いたところで、今の今まで空気を読んでいたらしいコナン君が口を開く。
「そういえばさぁ、どうしてAさんがここにいるの?たまたま…ってわけじゃないよね?」
それは僕も気になっていた。偶然なんてありえないが、Aが僕に発信器をつけたという線も考えにくい。
だから。
「僕は君が呼んだんだと思ってたんだけど…」
「違うよ!?」
どうやら冤罪だったようだ。
そこへ、おずおずと手が上がった。
「…あの、Aさんを呼んだの、…私です」
「え…蘭姉ちゃんが?」
意外すぎる人物からの申告に、コナン君がきょとんと目を丸くする。
かくいう僕も驚いた。
まさか、ここが連絡を取り合っているとはな…。だが、考えてみれば自然な流れだ。そもそも、最初にAと会ったのは園子さんと蘭さんなんだから。
「ええ、蘭ちゃんからメールをもらったのよ。もし時間があればってね」
「…その、Aさんに色々聞きたいことがあって…。安室さんもいるなら来てくれるかなって」
「…そうでしたか」
色々というのが何か分からないが、恥ずかしそうに顔を赤らめてうつむく姿である程度想像はつく。Aが隣で可愛いと呟いていたから、多分間違ってはいないはずだ。
「じゃあ、蘭ちゃんは私と話しましょうか。透はお仕事頑張って」
「ああ」
Aは僕の頬でリップ音を鳴らすと、蘭さんの隣に移動する。キスの瞬間、一瞬だけ周りがざわついた気がしたけど、ここは知らないふりで乗り切ろう。
有り難いことに、ちょうど良く頼んだフードやドリンクが運ばれてきた。
なんとなくその場が仕切り直しとなったタイミングで、僕は再び周囲の警戒に意識を向けたのだった。
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胡蝶(プロフ) - 来来(きままに更新)さん» コメントありがとうございます!一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…!嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ! (9月6日 0時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来(きままに更新)(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです!尊敬します! (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(;ω;)とっても嬉しいです!!もちろんお楽しみにしながら待ってます!!!♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そして、嬉しいお言葉をありがとうございます!タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2023年7月10日 8時