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Case.277 ページ46

ウトッと瞼が落ちかけて、眠気を飛ばそうと目頭を押さえる。ふーっと息を吐き出して、目の前のベッドに横たわるAに視線を戻した。

「………」

まだ寝てるな…。
ゆっくりと胸が上下している。しばらく様子を見たところ、呼吸も規則的で安定しているらしい。
ホッと息をつくと同時に、一向に目覚めないことに僅かな不安が募った。

「…A…」

指を絡めるようにして握っていた彼女の手を、改めて握り直す。
薬は飲ませたし、熱は下がってきているはずだが…。
工藤邸に到着した時、有希子さんは準備をして待ち構えてくれていた。誘導されるままAを部屋に担ぎ込み、濡れた服を着替えさせたところで一瞬目を覚ましたから、薬だけは飲ませたのだ。
それからはずっと、こうして側についている。

不意に、トントンとドアをノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

有希子さんだろうと当たりをつけて返事をする。
しかし、入ってきた人物は見知らぬ老人だった。その手にはお盆を持っていて、乗せている器から湯気が上がっている。
彼は僕を見ると、眼鏡の奥でふと目元を和ませた。

「そろそろ、食事でもどうかと思ってね」
「…ど、うも…」

あまりに自然に近づいてこられて、少し気後れした返事になってしまう。老人はサイドテーブルにお盆を置くと、器を1つ取って僕に差し出してきた。

「熱いうちに食べなさい」
「え…僕に、ですか…?」

Aの分だと思ってたから、僕の分だと言われてきょとんと瞬いてしまった。

「彼女の分もあるが、君も付きっきりで何も食べていないと聞いてね。ついでだから2人分作らせてもらったよ」

そう言われては食べざるをえない。受け取った器からじんわりと熱が伝わってきて、美味しそうな匂いが漂ってくる。
…あれ?

「これ…チキンスープですよね?風邪の時に食べるっていう…」
「おや、知っているのかね?日本ではあまり馴染みがないと思っていたが…」
「ええ、まぁ。ただ、一度作ったことがありまして…美味しいですよね」

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胡蝶(プロフ) - 来来(きままに更新)さん» コメントありがとうございます!一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…!嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ! (9月6日 0時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来(きままに更新)(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです!尊敬します! (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(;ω;)とっても嬉しいです!!もちろんお楽しみにしながら待ってます!!!♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そして、嬉しいお言葉をありがとうございます!タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2023年7月10日 8時

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