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「オレも驚いたよ。ギムレットに夜食どうするか聞こうとしたら、もう既にあの状態でさ。それでバーボンを呼びに行ったんだ」
スコッチが喋りながらタオルを絞り、ギムレットの額にそっと乗せる。僕もそれに習って、できあがった氷嚢を彼女の首元に当てた。
「…う、」
ぴくりと、閉じた瞼が震える。熱で潤んだ双眸が覗き、ゆらりと彷徨った。
「ぁ…れ、…ここ…？」
僅かに掠れたか細い声が聞こえてきて、スコッチと2人でホッと息をつく。
「気がついたみたいですね」
「よかった…」
意識が戻ったなら、とりあえずは安心だ。
ギムレットはぼうっとした瞳で僕達を見つめ、ひとつ瞬いた。
「…ばーぼん…すこ、ち…？」
熱の所為か、舌足らずな話し方に少し顔が緩む。
「なんで…私、…ここに…？」
どうやら、どうして自分の部屋にいるのか分かっていないようだ。普段なら状況で察するだろうに、やはり頭が回っていないのだろう。
「覚えてない？君、さっきリビングで倒れたんだよ」
「熱が酷かったので、ひとまずこちらに。…お加減はいかがですか？」
問いかけると、ひと間置いて理解したらしい。頭痛い、と辛そうな返事が返ってきた。スコッチがうーんと考える素振りをする。
「食欲とかはどう？」
「…あんまり…」
「そっか…。オレ、これから薬とか買いに行くからさ。何か食べられそうなものがあれば、バーボンに伝えて。ついでに買ってくるよ」
スコッチはギムレットの頭をひと撫ですると、その場で腰を浮かせた。
「…くすり、は…いらない」
『え？』
思わずスコッチと声が重なった。
こんな子供みたいなこと言うのか…。
「いけませんよ、ギムレット。熱が高いんですから、薬は飲まないと」
諭すように言うと、ギムレットはムッと眉を寄せる。
「買わなくていい、て、言ってんの…！」
先程より多少語気が強くなった。そんなに嫌なのか。
困った顔のスコッチが、浮かせた腰をもう一度下ろす。
「えーと…錠剤と粉薬と飲み薬ならどれがいい…？」
その瞬間、ギムレットの手がスコッチの胸倉を掴んだ。
へ、とスコッチから間抜けな声が聞こえたのと、シーツの上に濡らしたタオルが落ちたのは、ほぼ同時だった。
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胡蝶(プロフ) - 来来（きままに更新）さん» コメントありがとうございます！一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…！嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ！ (9月6日 0時) (
レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来（きままに更新）(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです！尊敬します！ (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(；ω；)とっても嬉しいです！！もちろんお楽しみにしながら待ってます！！！♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2023年7月10日 8時
