微睡みに落ちる７【降谷零/安室透】

Case.263 ページ26

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――組織の構成員が逃亡した
――一般人に危害を加える可能性が高い

――至急確保に向かえ


降谷さんからの指示を受け、数名の部下を連れて追跡に乗り出した。
対象は2人組の男。聞かされていた特徴をもとに捜索を開始したところ、早々に足跡を発見し、逃走ルートを絞り込みはじめた矢先だった。

「風見さん…！」

部下の1人に呼び出されてみれば、路地裏で女性が殺されていた。
刺傷が2ヶ所。おそらく失血死だろう。

「…奴らでしょうか？」
「現状では断言できない。ひとまずは一課に任せて…」

そこでふと、地面に落ちたスマホが目についた。

…なんだ？

揉み合った際に弾き飛んだのか、遺体から妙に離れている。だがしかし、どこか腑に落ちない。
手袋をつけ、拾い上げたスマホの電源を押すと、奇跡的に液晶がついた。

「よく生きてたな…」

豪雨で水没していると思っていたが、まさか無事とは。驚きで少々感動すら覚える。
すると突然、スマホが振動した。

「うわっ」

着信だ。思わず声が出てしまって、部下が不思議そうにこちらを振り返っている。
気を取り直して着信の相手を確認し、


―――硬直した。


知っている名前だ。一方的ではあるが。

嫌な想像が脳裏をよぎる。
まさか。だが――しかし。

「…やはり我々で処理しよう」
「は…了解しました」

突然の変更に戸惑ったのか、部下が曖昧に頷く。

「それと、今回の追跡についてだが」



「―――FBIに協力を要請する」



着信を、通話に切り替えた。


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