Case.262 ページ25
《シュウ、大変よ!》
ジョディの一言で、瞬時に緊張が走る。
「…どうした」
《Aと会った場所に行く前に、あの子に電話したの!そうしたら警察が出て…しかもそれが――》
「―――公安、か?」
先にその名を口にすると、ジョディは勢いを削がれたように口籠った。
《え、ええ…そう。公安の風見って言ってたわ》
「風見…」
なるほど、安室君の部下か。
《彼が言うには、組織から逃亡してる構成員を追跡中に、スマホが落ちてるのを見つけたそうよ。…しかも、すぐそばには女性の遺体があったって》
そこまで言われれば察しがつく。つまり彼女は。
「…巻き込まれたか」
Aが本調子でない今、不意をつかれて捕まった可能性が高い。
しかし…何故Aを連れ去る必要がある?
コードネームの無い構成員は、ギムレットの顔を知らないはずだ。目的が分からない。
「状況は分かった。お前達はその風見刑事と合流して動け」
《だ、だけど、公安の手を借りるなんて…》
「忘れたか、ジョディ。今の我々は協力関係にある。…それに、公安が敵の情報を握っているということは、組織内でバーボンが手を回す可能性が高い。下手に動くな」
釘を刺すと、しぶしぶといった体で了解と返事が返ってきた。
《…それで、Aの居場所は分かったの?》
「ああ、東京湾近くの廃倉庫だ。後で正確な位置を送る。…が、状況が分からん。俺は一足先にこの場所へ向かう」
《分かったわ。…シュウも気をつけて》
「ああ」
短い返答で通話を終え、すぐに踵を返す。
逃亡しているということは、追手がいるということだ。
ならば。
「…まずいな」
もしもAが、奴に見つかれば。
「…最悪の事態だ」
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胡蝶(プロフ) - 来来(きままに更新)さん» コメントありがとうございます!一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…!嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ! (9月6日 0時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来(きままに更新)(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです!尊敬します! (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(;ω;)とっても嬉しいです!!もちろんお楽しみにしながら待ってます!!!♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そして、嬉しいお言葉をありがとうございます!タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2023年7月10日 8時