Case.247 ページ3
今日は毛利先生にきた依頼に同行したんだ。
まさか呼び出された先が“そういう”店だったなんて思わなくて。
だから断じて私用で来たわけじゃない。
僕が好きなのは君だけだ。
なんならここで証明したって構わない。
君に信用してもらえるなら、僕はなんだってする―――
言葉を重ねに重ねて、とにかく信じてほしい一心で必死に説得を試みる。
最終的には、蘭さんからの後押しと、警報音を鳴らした老人が事件の依頼主の執事だと申し出たことで、なんとかAの怒りは収まった。
「ごめんなさい…ちょっと頭に血が上ってたみたいだわ…」
僕の隣の席に座ったAは、額に手を当てて気落ちしたようにうなだれた。
「分かってくれたならいいよ。でも、頼むから“We need to talk.”はやめてくれ。…心臓に悪い」
未だにちょっと動悸がする。しばらく引きずりそうだ。
すると、向かいに座った蘭さんが不思議そうに首を傾げた。
「“We need to talk.”って、“話し合いましょう”って意味ですよね?それがどうして『心臓に悪い』に繋がるんですか?話を聞いてくれるなら、まだ望みはあるんじゃ…」
「…蘭さん。恋人からその言葉を切り出されたら、それは高確率で別れ話なんですよ…」
「ええっ!?じゃあAさん、安室さんが本気でクラブに遊びに来てると思ったんですか!?」
蘭さんの視線が勢いよくAに向けられる。それをそろりと受け流したAは、小さく唇を尖らせた。
「…別に、私だって透が遊びに来たとは思ってないわ。ただ…バニーと話してるのを見たら、…なんか反射で」
「………」
思わず沈黙する。
これは…反射で別れ話を切り出されることを恐れればいいのか?それとも、反射で嫉妬されたことを喜べばいいのか?
究極の二択が脳内を駆け巡った、その時。
「おおっ!?いつの間にかキレーなオネーチャンが!!」
「おや…どちら様ですかな?」
どこかに飛びかけた思考が、陽気な声で一気に引き戻される。ハッと振り向くと、そこには毛利小五郎と依頼主の諸岡がいた。
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胡蝶(プロフ) - 来来(きままに更新)さん» コメントありがとうございます!一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…!嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ! (9月6日 0時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来(きままに更新)(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです!尊敬します! (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(;ω;)とっても嬉しいです!!もちろんお楽しみにしながら待ってます!!!♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そして、嬉しいお言葉をありがとうございます!タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2023年7月10日 8時