Case.254 ページ12
「…せっかく零と居るのに」
「僕は君が隣にいるだけで十分だから」
額に軽くキスをすると、Aはもぞもぞと頭の位置を変えた。また照れているらしい。
「…じゃあ、ちょっと寝る」
1時間したら起こしてと言い残して目を閉じると、すぐに寝息が聞こえ始めた。
もしかすると、最近はあまりゆっくり寝れていないのかもしれない。
――情報共有といきましょう
あの夜、Aが話してくれた内容は、本当に目を瞠るものばかりだった。
まさか彼女があんなことをしていただなんて、思ってもみなかったからな――。
＊＊＊
「は…？」
僕が話し終わるやいなや、風見はぽかんと口を開けた。
「驚いたか？」
「あ、いえ…」
ハッとして表情を引き締めた風見の肩を、片手でポンと叩く。
「安心しろ、僕も同じ顔をしてた」
「…はは」
ひくりと笑った風見は、誤魔化すように眼鏡のブリッジを押し上げた。
「本当に驚いたよ。まさか、各国の諜報機関を繋いでネットワークを創るとはね」
聞いた限りでは、ドイツやイタリア、フランス、イギリスなど、西欧はほとんど網羅している。それに加え、ロシアやインド、中国、そして僕達――公安警察。
それら全てとコンタクトを取り、時には裏で取引をして、少しずつ創り上げたのだという。
「口では簡単に言いますが…途方もないですね」
「ああ。さすがのAも骨が折れたらしい。使える伝手はすべて使ったそうだ」
しかもギムレットとして組織に潜入している頃から動いていたというのだから相当だ。
「裏だけでなく、表にも繋がりをお持ちでしたからね…まさかNAZUにも伝手があるとは驚きました」
「僕もだよ。あのテロ事件では彼女に協力者になってもらって本当によかった。…まぁそのおかげで、僕達公安もこのネットワークの仲間入りをさせられたわけだが」
ぼそりと恨み言をこぼせば、風見が曖昧に笑う。
――この国を守るために、君の力を借りたい
そう言ったら、Aから返ってきたのは意外な答えだった。
――その話、個人じゃなくて公安警察としての申し出なら、条件付きで引き受けてあげる
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胡蝶(プロフ) - 来来（きままに更新）さん» コメントありがとうございます！一気読み頂いたうえにそんなお褒めの言葉まで…！嬉しいです…噛みしめますね…。さて、二幕も終盤でございます。遅筆ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいませ！ (9月6日 0時) (
レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
来来（きままに更新）(プロフ) - ついつい一気読みしました。文章力もそうですがギムレットの感情、安室との絡み全てが好きです！尊敬します！ (9月5日 12時) (レス) @page45 id: b6c1688bfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 胡蝶さん» まさかお返事をいただけるなんて(；ω；)とっても嬉しいです！！もちろんお楽しみにしながら待ってます！！！♡ (7月25日 20時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！タイムセールもお楽しみ頂けたようで何よりです笑 のんびり更新ですが、二幕も終盤に差し掛かりました。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。 (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 卵のくだりがすごく面白かったです笑 (7月24日 22時) (レス) id: 245f7f2888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2023年7月10日 8時
