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Case.199 -Zero the Enforcer- ページ49

「博士!」
「おお、来たか」

阿笠邸に飛び込むと、作業中の灰原の隣で、博士が経緯を説明してくれた。
ドローンで空撮した破片を繋ぎ合わせたところ、爆弾のような形になったらしい。灰原は今、それをあらゆる画像と照合しているのだという。

「あったわよ、合致するものが」

灰原の一声に、パソコンのモニターに齧りつく。表示されたのは、とあるメーカーのホームページ。

「IoT圧力ポット…?」

掲載されていた商品は、少し便利な、なんの変哲もないIoT家電。
期待が一瞬で苛立ちに変わった。

「何だよ…!!爆弾じゃなかったのかよ!?」
「――コラ!」

吐き捨てるように叫んだ瞬間、博士から鋭い叱責が飛ぶ。らしくないと叱られ、自分がいつになく冷静さを欠いていることに、やっと気づいた。

「悪かった…」
「…どうしたの。…何かあった?」

俺からただならぬ様子を感じたらしい灰原が、静かに問いかけてくる。

「…小五郎のおっちゃんが、送検された…!」

今朝の出来事を唸るような声で絞り出すと、2人分の息を飲む音が部屋に響く。

おっちゃんを犯人とする証拠が、十分すぎるほどにある。例えどれほど動機が薄くても、揃えられた証拠は無視できない。
何か。何かないのか。この状況を打破できる一手は。

「っそうだ、Aさんは!?」

おっちゃんが逮捕された決定打は、サミットに関する機密書類がパソコンに保管されてたからだ。
つまり、何者かに仕組まれたことになる。

「Aさんなら、おっちゃんのパソコンに不正アクセスした方法を、ある程度予測できるかも―――」
「…それが…のォ…」

切り込んできた博士が、言いづらそうに言葉をつなぐ。

「Aさん、昨日から帰っとらんようで…」

先を言うのをためらったのか、博士が助けを求めるように灰原を見た。

「…まさか」

足元から、ざわざわと嫌な感覚がのぼってくる。急激に血の気が引いて、ぎしりと体が強張った。

「…そうよ」
「っ、」

無理やり顔を動かして見上げた灰原の表情に、息が詰まる。


「あの人も、あちら側だわ」


その言葉は、重い鉛玉のように俺の胸に沈んだ。

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胡蝶(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます!とても励みになります…!しかも一気読みいただいたとのこと、とても嬉しいです!更新遅いですが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年12月5日 1時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 初めまして。内容の丁寧さに惹き込まれ、昨夜から一気読みしてしまいました。とても好きです。 (2022年12月4日 20時) (レス) id: d1e259953e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年10月1日 1時

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