Case.197 -Zero the Enforcer- ページ47
Aのいる部屋を後にして、歩きながら今後の対策を練る。
あの規模の事件が起こったにしては、初動は順調だ。なにより、手放しで解析を頼める事がありがたい。
Aのおかげだな。
彼女がいなければ、自分は解析にかかりきりだっただろう。それに、こんなに早く突き止めることもできなかったに違いない。
しばらく歩いたところでぴたりと足を止め、周囲を確認する。
誰もいないことを確認し、取り出したスマホに諳んじている電話番号を打ち込んだ。数回のコール音の後、通話口から応答が聞こえる。
《――どうした?》
「不正アクセスに使われたシステムが判明しました。――Norです」
手短に言い切ると、電話の相手は一瞬沈黙した。
《随分と断定が早いな。…“彼女”か?》
「はい」
《…なるほど》
くつり。
電話口の向こうから、ひそかな笑い声が返ってくる。
《さすがはギムレット――噂に違わぬということか》
続けられた賞賛の言葉に、口の端が自ずと吊り上がった。
そうでしょう、という自慢げな言葉を喉元で押しとどめ、耳に当てたスマホを握りなおす。
「証拠データは警視庁公安部より提出します」
《分かった》
その一言で通話は切れた。スマホをポケットに押し込み、壁にもたれて一息つく。
「この後はポアロだな…」
その頃にはおそらく、毛利小五郎に逮捕状が出るだろう。
「…行くか」
コツ、と靴音を響かせる。
さあ、君の全力を貸してもらうよ。
――――コナン君。
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胡蝶(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます!とても励みになります…!しかも一気読みいただいたとのこと、とても嬉しいです!更新遅いですが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年12月5日 1時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 初めまして。内容の丁寧さに惹き込まれ、昨夜から一気読みしてしまいました。とても好きです。 (2022年12月4日 20時) (レス) id: d1e259953e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年10月1日 1時