Case.194 -Zero the Enforcer- ページ44
「えっ?オメーの父さんが、警察に疑われてる?」
電話口で驚いてみせたのは、工藤新一の声。
《うん…まぁ、何かの間違いとは思うんだけど…》
「…分かった。俺も調べてみる」
プツッと通話を切って一息つく。蘭が電話してくるのも無理はない。
探偵事務所では今、警察が事務所のパソコンやファイルを押収している最中なのだから。
事の始まりは今朝、来週行われる東京サミットの会場が爆破されたことだった。
検証の結果、現場から焼き付いた指紋が発見され、それがおっちゃんのものと一致したらしい。
一体どういうことだ…?
おっちゃんが事件を起こすはずがないし、サミット会場は間違えて入り込める場所じゃない。
それに、安室さんのこともある。
ニュースで流れた爆破の映像に安室さんが映っていたと、灰原が言っていた。サミット当日は警備に参加予定だったみたいだし、多分何かの確認に来ていたとかで、偶然居合わせたんだろう。その上で、今回の件でおっちゃんに疑いがかかるなんて、十中八九意図がある。
それがなんなのかは、まだ分からないけれど。
安室さんに聞いて、素直に教えてくれるとは思えねぇし…まずは情報収集だな。
「…あれ?」
尻ポケットにあるはずのコナンのスマホがない。
ここに入れたと思ったけど…どこかに置いてきたか?
仕方なく新一の方のスマホを取り出して、博士に電話をかける。
「――あ、博士?ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」
《なんじゃ急に?》
「サミット会場の爆発の原因を特定したいんだ。博士のドローンで、現場を撮影できねぇか?」
《空撮か…コントローラーの改良が終わってからなら、できなくもないがのう》
そう言われて、今朝の出来事を思い出した。
子供達がコントローラーを奪い合って喧嘩するからって、機能を3つに分けるかぼやいてたっけ。
まさか本気でやってるとは思わなかった。
「…ん?ってことは、もしかしてAさんもいるのか?」
《それが…声をかけに行ったら、朝から出かけておるようで…》
「そっか…」
Aさん、いないのか。
この前手伝いに来てたし、もしいるなら協力を頼みたかったんだけどな。
「分かった。じゃあ頼んだぜ博士。灰原にも言っといてくれ」
そこで電話を切って、事務所の中へ駆け戻る。
「あっ」
床に見覚えのあるスマホがあった。
俺のスマホ…。
拾い上げ、問題がないことを確認してポケットに仕舞う。
けど。
おかしいな…。
落とした感覚なんて、なかったのに。
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胡蝶(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます!とても励みになります…!しかも一気読みいただいたとのこと、とても嬉しいです!更新遅いですが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年12月5日 1時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 初めまして。内容の丁寧さに惹き込まれ、昨夜から一気読みしてしまいました。とても好きです。 (2022年12月4日 20時) (レス) id: d1e259953e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年10月1日 1時