Case.178 ページ28
分かりやすい子ね…。
「な、なん、なんでバレたん…？」
「彼の話をしてる時の表情で、なんとなく。それに、一緒にイルミネーションを見に行けなかったこと…ただ残念がってるようには見えなかったから」
若干の寂しさを含んだあの顔は、彼と見たかったという証拠だ。そしてその気持ちは、今の私にはとても良く分かる。
「付き合わないの？」
「そ…それは…その、なかなか…」
もにょもにょと口ごもるのを見る限り、勇気が出ないらしい。
そんなに構えなくてもいいと思うけど。
近所ならまだしも、東京のデートスポットにわざわざ着いてきてくれるんだから、きっとまんざらでもないはずだ。
…まぁ、それを私の口から言うつもりはないけど。
蘭ちゃんとともに温かい眼差しを送っていると、耐えきれなくなったらしい和葉ちゃんが、話の矛先を切り替えた。
「ら、蘭ちゃんはどうなん！？この前告白されたって言うとったやん！」
「わ、私！？」
素っ頓狂な声を上げて、今度は蘭ちゃんが赤くなった。
「ふぅん？蘭ちゃんモテるじゃない」
こんなに可愛い顔してるし、告白のひとつやふたつ、あって当たり前か。
「で、告白してきたのはスクールの友達？どんな子？」
「う…幼馴染、です」
「工藤新一君ってゆうて、平次と同じ高校生探偵しとるんよ」
恥ずかしがってる蘭ちゃんの代わりに、和葉ちゃんが教えてくれる。
「アタシはあんまり会ったことあらへんけど、平次とはめっちゃ仲ええねん！」
「へぇ…探偵同士、通じるところがあるのかもしれないわね」
しかも、歳が近いならなおさらだ。
「ほんで？もちろんオッケーしたんやろ？」
「…実は、まだ返事してなくて…」
「えーっ！？」
盛り上がっている女子高生の様子を見ながら、私は吊り上がりかけた口元をそっと隠す。
――この前告白されたって言うとったやん！
「…ふふっ」
まさか、こんなところで情報が入るなんて。
眼鏡のボウヤの顔がよぎる。
案外、謎が解ける日は近いのかもしれない。
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胡蝶(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます！とても励みになります…！しかも一気読みいただいたとのこと、とても嬉しいです！更新遅いですが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年12月5日 1時) (
レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 初めまして。内容の丁寧さに惹き込まれ、昨夜から一気読みしてしまいました。とても好きです。 (2022年12月4日 20時) (レス) id: d1e259953e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年10月1日 1時
