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第41夜 ページ41

「よほど大事なプリンセスのようね。いいわ、秘密主義の貴方の側面を知れたことだし…危ないことはしないであげる」
「その言葉、忘れないでくださいね」

何はともあれ、言質が取れたなら大丈夫だろう。ジンにバレたら厄介だったが、相手がベルモットで助かった。

「でも意外ね、貴方が“そういう”相手を手元に置くなんて。一体どういう風の吹き回し?」
「…ただの成り行きですよ」
「それにしては大切に囲っているようだけど」
「彼女は一般人です。こちらの世界に関わらせるつもりはありません」
「ふぅん?」

ベルモットが意味ありげな視線をよこしてくる。
なんなんだ。今日のベルモットはやたらと面倒くさいぞ。

「もういいでしょう。これ以上詮索するというなら、そこの路上で降ろしますよ。ちょうど今日の予定に穴が空いたわけですし、単独の任務でもやらせていただきます」
「あら、乱暴ね。貴方らしくないんじゃない?」
「………」

無言で睨めば、ベルモットは肩をすくめてわかったわと了承した。


その日は別の任務をこなすことになったが、何故かベルモットの計らいにより夕方に解放された。


――プリンセスとは、夜の時間も大切でしょう?


本気なのか、からかっているのか。
彼女の本意はつかめなかったが、その配慮はありがたく頂戴する。
Aの迎えに行こう。
今日はラストまでのシフトだったはずなので、十分間に合う。

ポアロまで車を走らせると、到着したのはギリギリ営業時間内だった。
様子見がてら、閉店作業を手伝うつもりで店内に入る。―――と。

「あ、安室さん!」

梓が地獄に仏というような顔をしてこちらを見た。
閉店間際にしては珍しく客が多く、しかもカウンター席に殺到している。その目的はもちろん。

「Aちゃん、このあと少し時間ない?」
「よかったら飲みに行こうぜ!」
「日本に来たばかりなんだよね?困ったことがあったらここに連絡して!」
「Aちゃんって彼氏いるの?」

カウンターの中でにこにこと笑っているAを口説こうというもの。
寄ってたかって声をかけているのは全員男だが、店内に残っている女性客の何人かは、Aをうっとりした表情で見つめている。

「助けてください安室さん…私にはもう手に負えなくて……」
「でしょうね……」

正直、この状態は予想がついていた。とはいえ、たった数日で熱烈アピールをかましてくる輩がこんなにいるとは予想外だ。

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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時

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