第35夜 ページ35
口を閉じてそわそわとするくせに、話すのをためらっている。さらに。
あ、ピンクのルフ。
しかも結構盛大に集まっている。Aはなるほどと頷いた。
「大好きなんだねぇ、その人のこと」
『…………』
2人してうつむく様子を見ながら、真純が訝しげに口を出す。
「蘭君が赤くなるのはわかるけど、なんで園子君まで恥ずかしがってるんだよ?空手家の彼氏のこと、いつも自慢げに語ってくれるじゃないか」
「…なんかAさん相手だと照れの方が勝るっていうか…」
不思議だ。
「さて、おまたせ。コーヒーと紅茶だよ。ミルクや砂糖はここから使ってね」
ことんと置かれたそれに、女子高生たちは声をそろえて礼を口にする。
「じゃあみんな、ゆっくりしていってね。―――あ、そうだ」
Aは3人の前を離れようとして、くるりと振り返った。
「ねぇ蘭ちゃん、コナン君っていつ帰ってくるのかな?」
唐突な話に、蘭はきょとんとした顔になる。
「コナン君、ですか?」
「うん。ちょっと会いたいんだけど、あれからずっと姿を見ていなくてね」
「そうだったんですね。コナン君、昨日と一昨日は泊まりに行ってて。もうすぐ帰ってくると思いますよ」
「そっか!もうそろそろ帰る時間なんだけど、少し待ってようかな」
実はあと10分で上がりなのだ。また探偵事務所の階段で待たせてもらおう。
すると、真純がじっとこちらを見つめてきた。
Aはぱちりと瞬きする。
これは、疑いの目だ。
「…コナン君に何の用があるんだ?」
「ちょっと伝えたいことがあるだけだよ?」
「伝えたいことって?」
「うん、なんだか驚かせちゃったから」
それに、とても困らせてしまったに違いないのだ。
この前のこと、早く謝らなきゃ。
◇◇◇
探偵団の子供たちと別れ、コナンはひとり2日ぶりの帰路を急ぐ。
つけられてはいないみてぇだな。
灰原も無事阿笠邸に帰った。あそこに入ってしまえば、隣で目を光らせている人がいる。まず安心だろう。
しかし、問題はこちらだ。
「…くそっ、やっぱりか」
探偵事務所の階段に座っている金髪の彼女。膝に乗せているのは、この前とは違う猫だ。
コナンは咄嗟に物陰へ隠れて思案した。あれでは事務所に入れない。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時