第34夜 ページ34
「でも、Aさんくらい綺麗な人だと、トラブルは尽きなさそうだよな」
「そうよねぇ。私が男でも、絶対に声かけるわ」
「まぁでも、よくあることだから。…それで、君たちは？」
あ、と2人は声を漏らした。
自己紹介がまだなのを忘れていた。
「私は鈴木園子。蘭の親友なんです！」
「ボクは世良真純。よろしくな！」
「園子ちゃんと真純ちゃんだね。私は桃花Aさ。可愛い友達が2人も増えて嬉しいよ。こちらこそよろしくね」
園子と真純はなるほどと頷いた。
「息をするように褒められたわ」
「これが噂の天然タラシってやつか」
「ね、すごいでしょ」
「みんな気をつけてね。私も今日1日で何回惚れてるかわからないから」
『梓さんまで』
よく見れば、男性客に限らず女性客もAに熱い視線を送っている。
「はいはい質問！」
「うん、なぁに？」
「Aさんて彼氏いるんですか！？」
花の女子高生としては気になる話題だろう。が、梓はさっと青くなった。それを見た蘭も聞いてはいけない類の話だと察する。
「待って園子、その話は―――」
蘭が話を止めようと口を開いたところで、手のひらがすっと視界を遮った。
ふるふると首を振ったAが、柔らかく笑って蘭と梓を見やる。
「…えっと…もしかして聞いちゃいけない話だった…？」
良くない雰囲気を感じ取ったのか、園子がどうしようと目を泳がせる。
「ううん、そんなことないさ。気にしないで？」
ぱたぱたと手を振って、Aは園子を落ち着かせた。
「うんと、私の大切な人だよね。梓さんにはもう話したけど、いるよ」
「そ、そうだよな！Aさんみたいな美人、誰もほっとかないだろ！」
真純が場を取り繕うように明るい声を出す。
「ふふふ、そうかい？褒められることはよくあったけど、お付き合いを申し込まれたことはほとんどなかったなぁ」
「ええっ、うっそぉ！」
「本当さ」
驚いた園子にAは肩をすくめておどけてみせる。
「まぁ、申し込まれたとしても応えることはなかっただろうけどね。…私は、彼が一番好きだったから」
女子高生から歓声が上がった。
「いいわー！Aさんにそんなこと言われるなんて幸せ者ー！」
「本当に惚れてるんだな、彼のこと」
「うん、まだ大好きなんだ。ところで、君たちにはいないのかい、大切な人」
Aがこてんと首を傾げると、反応したのは蘭と園子だった。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます！お、恐れ多いです…！蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ！ (2022年7月5日 3時) (
レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか！？この小説を推させてもらいますね！！！ (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年6月25日 12時
