第33夜 ページ33
Aがポアロに初めて入った日から3日が経った。
どこから聞きつけてきたのか、A目当ての客が急増しており、特にランチタイムは大忙しだ。
そのあと少し休憩できるものの、学校が終わる頃になると安室目当ての女子高生が集まってくる。
結果、1日ずっと大盛況だ。
とはいえ、女子高生は安室が居なければ長居はしない。着々とAに籠絡されているものの、まだ大した人数ではない。
Aの初日以降、安室のシフトはないので、今のところその恐ろしい日は来ていなかった。そしてその恐怖に気付いているのは梓ひとりなので、彼女は3人揃う地獄のシフトの日まで、ひそかに指折り数えている。
そんなことは露知らず、今日も元気に働いているAは、カランコロンとベルが鳴ると持ち前の笑顔を振りまいた。
「いらっしゃいませ!」
そこに知った顔を見つけて、さらに嬉しそうに顔を輝かせる。
「わぁ、蘭ちゃん!」
「こんにちは、Aさん!」
「ふふふ、嬉しいなぁ。こんなに早く会えるなんて!」
言うが早いが、蘭の手をきゅっと握る。
初めて会った日以来、蘭とは会えていない。Aにとっては、この世界の初めての友達なので、幸せオーラは全開だ。
そんなAの突然のスキンシップに若干顔を赤くしながら、蘭は幸せをかみしめた。
そこで、背後から声がかかる。
「ちょ、ちょっと蘭…」
「こんな美人だなんて聞いてないぞ…?」
例のごとく惚けている後ろの2人をハッと思い出して、蘭は慌てて今日の目的を告げた。
「実は学校の友達にAさんのこと話したら、会ってみたいって…。ご迷惑だったらすみません」
「蘭ちゃんの友達かい?そんなことないよ、大歓迎さ!」
蘭たちはカウンター席を案内してもらい、それぞれ紅茶とコーヒーを頼む。
「わかった。ちょっと待っててね」
手際よく準備を始めるAは、既に慣れた手つきで紅茶を準備していた。
「Aさん、もうドリンクは1人で作れるんですか?」
「ふふっ、実はもうご飯も作れるのさ!たくさんやったからね」
「たくさん…?」
確かに、今日はこの時間にしては客が多い気もする。すると、梓が疲れた顔で入ってきた。
「すごかったのよー、Aちゃん効果。外で客引きやってもらったら、もうびっくりするくらい…」
「へ、へぇ…」
蘭は硬い笑みを浮かべた。
想像できる。
「その上ナンパが多くて多くて…ホントに多くて」
「すごく熱烈だったよね」
つまりしつこかったということか。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時