第32夜 ページ32
「だからって、彼女が怪しいのは事実だわ!わざわざ直接聞いてくるなんて、すでに証拠は掴んでいると言っているような―――」
もの、と言いかけて、哀はぴたりと閉口した。
「…そうなんだよ。奴らの仲間なら、そこまで掴んでおいて生かしておくわけがない」
準備も警戒もしていなかった。コナンを消そうとするのなら、絶好のタイミングだったはずなのに。
「盗聴器も発信機も付けられてなかったし、念のため探偵事務所やポアロ周辺も調べたけど、何もなかった。あの人、本当に何もしてないんだよ」
「冗談でしょう…?」
「冗談じゃねぇから困ってんだよ…くそっ」
コナンは悪態をついて、がしがしと前髪をかき上げる。
全く目的がわからねぇ…!
大体、あんなことを言えばコナンが警戒する事くらいわかっていたはず。
ならば、こちらの出方を窺っているのだろうか。だとしても、知り合って早々に追い詰めるなど。
奴らの仲間にしては性急すぎ―――…。
「……いや」
待てよ、と顎に手を添える。
そもそも、あの質問に意図はあったのだろうか。
“あの事件”の真相を突き止めたとして、まず矛先が向かうのは“彼”のはずだ。だがそれには触れず、“江戸川コナン”の核心に迫ることだけを口にした。
そうだ。
あの時彼女は、どうして子供のふりをしているのか、としか聞いていない。何者なのか、何を企んでいるのか、脅して問い詰めるならいくらでもあるはずなのに。
――ちょっと気になってたんだけど
「まさか、本当にちょっと気になっただけ…?」
たらりと冷や汗が伝う。
哀は眉をひそめた。
「どういうこと?」
「…バーボンはAさんじゃねぇかもってことだよ」
もしあれが、ただ待ち時間を潰すための雑談のつもりだったとしたら―――あの人は。
「…何者なんだ…?」
桃花Aとは―――一体。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時