第29夜 ページ29
ひゅっと喉が鳴る。
心臓がドクドクと早鐘を打って、うなじに嫌な汗が伝った。
「子供の、ふり…?やだな、ボクは子供だよ…?」
悟られるな。
隠せ。
――誤魔化せ。
子供らしい笑みを口の端にのせて、コナンは必死に演技する。
「うん、体はそうだね。でも、心は違う。…そうだな、たぶん蘭ちゃんと同じくらい」
「―――ッ!?」
ぴたりと言い当てられたそれに、ざっと血の気が引いた。
冷や汗が噴き出し、がくがくと手が震える。
自分は何かミスをしたか。
いいや、そんなはずはない。
ならばどうして、それを知っている?
―――“探り屋”バーボン
その名前に行き着いた瞬間、コナンはぶるりと身震いした。
まずい…もしそうなら、計画が狂うどころの話じゃねぇぞ―――…!!
「コナン君?」
こてんと、Aが首を傾げた。
「どうしたの?すごく焦ってるみたいだけど、何かあった?」
その心配そうな顔に、え、と掠れた音が漏れる。コナンが呆然としていると、Aは思いついたように猫をコナンの膝上に乗せた。
「な、なんで猫…」
「あったかいでしょ?」
「は…?」
「あれ、寒いんじゃないのかい?」
青ざめてるし、手も震えてるから、そうかと思ったんだけど。
そう事も無げに言う彼女は、ついさっき自身が投げかけた疑問など忘れたかのような様子で。
遠くから聞こえてきた車の音に顔を向けると、さっと立ち上がって階段を下りた。
「透さん来たみたい!一緒に待っててくれてありがとう、コナン君。またね!」
ばいばいと手を振って、彼女はコナンの前から姿を消した。
「……なん、だったんだ…?」
ぽつりと呟かれた問いに答える者は、誰もいなかった。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時