第27夜 ページ27
「わりぃ博士、遅くなった!」
「おお、来たかね新一」
阿笠邸に飛び込めば、阿笠博士が待ち構えていた。スケボーを渡し、一息つこうとソファに座る。
向かいに座っていた灰原哀が、ちらりとコナンを見た。
「だいぶ遅かったのね。何かあったの?」
「ああ、ポアロでちょっとな。新人が入ったんだ」
「また?最近1人入ったじゃない。あの安室って人」
「その安室さんの親戚なんだと。お前も今度見に行ってみろよ。人間か確かめたくなるくらい綺麗な人だったぜ」
それに、哀は半眼になって笑った。
「あら。大切な彼女がいるくせに、随分と褒めるのね」
「蘭は関係ねぇだろ!」
条件反射で声を荒らげるが、本当に彼女の容姿は常軌を逸していたのだ。
しばらくの間、ポアロは安室さんとAさん目当ての客でいっぱいだな…。
忙しさに振り回される梓の様子が目に浮かぶ。
「ま、貴方がそんなに言うなら、ちょっと見てみたい気もするわね」
「さすがのオメーも絶句するんじゃねぇか?」
言葉を失う哀の姿を見てみたいコナンである。
「しばらくはポアロでバイトしてるらしい。たぶん、会おうと思えば明日にでも会えるぜ」
「はいはい。…そんなことより、組織の新しい幹部のこと…あれから情報はないの?」
「…ああ、バーボンのことか…」
水無怜奈からリークされた情報によれば、諜報活動が主な“探り屋”とのこと。
しかし。
「いや、あれ以上のことはわかってない」
男か女か。その素性はベールに包まれたままだ。
「その新しく来た彼女がそうってこともあるんだから、警戒するにこしたことはないわ」
「…わぁってるよ…」
「言っておくけど、貴方の実家に住まわせてる沖矢って人。まだ信用してないから」
阿笠邸の隣に建つ工藤邸は、コナン――工藤新一の生家である。その自宅を、つい最近火事でアパートが燃えてしまったという沖矢昴という男に、コナン自ら提供したのだ。
「オメー、まだ昴さんのこと疑ってんのかよ」
「当たり前でしょ。あんな得体の知れない人…招き入れる方がどうかしてるわよ」
ひどい言い様である。
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胡蝶(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!お、恐れ多いです…!蔵出しなので更新遅いですが、どうぞお付き合い下さいませ! (2022年7月5日 3時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 好きな作品と好きな作品が合さってる上に最推し落ちとか神ですか!?この小説を推させてもらいますね!!! (2022年7月3日 22時) (レス) id: acb22861a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時