Case.128 ページ10
「―――って、店の外で何してんのよ…透」
「あー…ごめんA」
ポアロに到着したら、何故か零が店の前に立っていた。
掃除してるわけでもなさそうだし、もしかして私を待ってた？
でも、それにしては歯切れ悪く謝ってきたのはどういう意味だろう。
「とりあえず中に入って。それで分かると思う」
「はぁ？」
意味が分からない。さっきから微妙に目線も合わないし、一体何があったのか。
まぁいいや。入れば分かるのよね。
店のドアを押し開け、いつもの如くカランとドアベルが鳴る。
「待ってましたよ、Aさん！！」
「…まずはいらっしゃいませじゃないの、梓さん」
開口一番、キラキラの笑顔で梓さんが宣った。
「いーえ！Aさんには聞きたいことが山ほどあるんですから！！」
早く早くと招き入れられ、零が後ろに続く。
「あ、きたきた！Aさーん、こっちこっち！！」
テーブル席でひらひらと手を振ってきたのは園子ちゃんだった。向かいには興味津々な顔の蘭ちゃんと、ちゃっかりくっついてきている眼鏡のボウヤ。
……なるほど。
「…察した」
「ごめん…軽い報告のつもりで口にしたら、呼んでほしいと…」
零は困ったような笑みを浮かべて、もう一度謝罪を口にした。
恋愛に興味津々の女子高生なら、こうなるのも無理はない。特に園子ちゃんは押しが強いし、“安室透”では無下にできなかったんだろう。
「まぁ、遅かれ早かれこうなってただろうし…謝らなくてもいいわ。…ただ」
ちらりと零を振り返ると、蒼い目がきょとんとこっちを向く。
「会いたくて呼ばれたんだと思ったんだけど？」
すると、零は少しだけ目を丸くしてから、柔らかく目尻を下げた。
「ああ…実はそっちが本音なんだ」
すっと腰が引き寄せられる。私も応えるように片腕を零の後頭部に回し、上から降ってきた軽いキスを受け止めた。
「それじゃあ、しょうがないから付き合ってあげる」
「あはは、じゃあケーキセットは僕のおごりだな」
そう言って、零はカウンターに入っていき、私は女性陣とマセガキのいるテーブルに座る。
「…で、皆は今見せたようなことを聞きたいのね？」
軒並み顔を赤くしている面々におもむろに尋ねれば、口々に呟きが返ってきた。
「ふ、2人ともオトナですね…」
「やっぱり絵になるわよねぇ…」
「さすがAさんと安室さん…見せつけてくれるわ…」
園子ちゃんに至っては、何故かほうっとため息を吐いてる。
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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます！もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです！語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (
レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…！度々一人で悶えながら読んでます！面白い作品に出会えて私は幸せです(´；ω；｀)更新楽しみに待ってます！ (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです！書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…！ (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました！続き待ってます！更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです！特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ！ (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年6月25日 12時
