Case.155 ページ48
お互い触れてはならないと分かっているのに、何故凝りもせずこの話題に触れてしまうのだろうか。自分で自分の傷口に塩を塗り込む行為はいい加減やめにしたいところである。
それに、自分はこの仕事に誇りを持っているのだから、ブラックなどという揶揄はすべきではない。
「いけないな…ナインさん相手だとどうも口が軽くなる…」
気が緩んでいるのだろう。ゲームとはいえ、自分は公安。発言にはもう少し気を付けなければ。それこそ、降谷さんに見つかりでもしたら終わりだ。
まぁ、あの人がゲームなんて想像つかないけどな…。
はは…と乾いた笑いが口からもれる。すると、チャットがピコンと通知音を鳴らした。
《終わったよ》
「うわっ、早いな」
さすがナインさんだ。1分もかかっていない。
慌ててチャットを打ち込む。
《それじゃあ、クエストに行こうか。いくつか行きたいところをピックアップしてるんだが、ナインさんは希望あるか?》
《いや、せっかくだからユーヤさんに任せる》
《了解。なら、まずは中級クエストの―――》
行きたいクエストを伝えると、ナインさんから即レスでOKが出る。
さて、これからが本番だ。
今日はいつもよりたっぷり時間がある。素材集めとレベリングに費やすこととしよう。
いざ、周回の旅へ―――。
◇◇◇
届いたメールに指定された場所は、あるレストランだった。
ついでに昼食も済ませようということなのだろう。
ちょうど腹の虫が鳴き始めたところだ。とてもありがたい。
…さて。
店に入り、ぐるりと店内を見渡すと、見知った金髪を目の端で捉えた。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「いえ、連れが先に来ていますので」
応対に出てきた店員を丁重に断り、まっすぐに目的のテーブルへ向かう。
「お待たせしました、降谷さん」
「気にするな。時間はわざとずらしたんだ。君が謝る必要はないさ」
そう言われては何も言えない。
「…では、お言葉に甘えて」
「そうしてくれ。とりあえず注文しよう。このレストランはパスタがうまいんだ」
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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます!もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです!語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…!度々一人で悶えながら読んでます!面白い作品に出会えて私は幸せです(´;ω;`)更新楽しみに待ってます! (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます!一気読み嬉しいです!書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…! (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました!続き待ってます!更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ! (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時