微睡みに落ちる４【降谷零/安室透】

Case.152 ページ45

ピロンと通知音が鳴った。


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「お、来た！」

僕はクエストの選定を切り上げ、すぐにロビーへ移動する。

《やぁ、ユーヤさん。待たせてごめんね》
《いや、謝るのはこっちだ。急に連絡してしまってすまない》

今朝、降谷さんから電話が掛かってきて、抱えていた案件をいくつか後日に回せと指示を受けた。
ここ最近は大きな案件もないし、休めるときに休めということらしい。
そしてめでたく定時上がりを達成したので、ナインさんに遊ばないかとチャットを送ったのだ。

《チャット送った時、まだ出先だったんだろう？急がせてしまったんじゃないかと思って…》
《多少はね。でも、帰る途中だったし、夜にはログインするつもりだったから》
《そう言ってもらえると助かる。じゃあ、まずはナインさんのデイリー消化に行こう》

怪コレのデイリーミッションは、特定のモンスター討伐と素材採取、そしてクエスト1回達成の3つ。
クエストに指定はないので、大概は先に討伐と採取を終わらせることが多い。

《ありがとう。討伐から終わらせるよ》
《了解》

ナインさんと共にフィールドを移動して、討伐ポイントに向かって歩く。

《それにしても、ナインさんって外出もするんだな》
《…ケンカ売ってるのかな？買うよ？》

途端に僕の周りでヒュンヒュンと素振りするナインさん。
まずい、言葉選びを間違えた！

《いや、違くて！その、インドア派かと思っただけで！》
《どっちも変わらないよね。マイルドに引きこもりって言ってるでしょ》

「くっ…！」

思わず呻いた。
そのとおりだ。

とりあえず、ダッシュで振りの早い素振りから逃げ回る。当然だが追いかけてきた。怖い。
引きこもりというより、ナインさんの場合はゲーム廃人だと思っていたんだが、この調子じゃ死んでも言えない。

《すまなかった！》
《うーん、どうしよっかなぁ》

とにもかくにも謝ったら、意外と軽い返事で返ってきた。
あ、これ遊ばれてる。
どうやらそこまで怒ってはいないらしい。

しれっと討伐ポイントに逃げ込むと、ナインさんは僕を置いてモンスターを狩り始めた。討伐数をみるみる稼ぎ、すぐにカウントが打ち止めになる。

《ああ、すっきりした》
《狩り尽くされたモンスターを前に、僕は己の発言を悔い改めた。すまない》
《ならばよし》

良かった、許された。

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