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「…ギム、レット」
か細い声で私を呼ぶバーボンの足元には、すでに水たまりができている。
「ちょっと…アンタなんでこんなに濡れて…」
いくら土砂降りとはいえ、少し雨に打たれたくらいじゃこうはならない。
一体いつから外にいたわけ…？
「…その、考え事をしていたら…雨が、降ってきてしまって」
「…は？」
困ったように眉を下げるこの男は、一体何を言っているのだろう。
…だって、雨なんて。
今朝から、ずっと降り続けているのに。
「…とりあえず、中に入って」
もう秋も終わりなのに、こんな状態じゃ風邪を引く。玄関が濡れるけど、このまま外に立たせてもおけない。
「何か拭くもの持ってくる。アンタはここで待ってて」
そう言って踵を返した、――その時。
雨の匂いが、鼻を掠めた。
じわりと、服が水を吸っていく。
「…え、」
滴ってきた水滴が首筋を流れた。そこでやっと、後ろから抱きしめられているのだと理解する。
胸の前で交差する腕にそっと触れると、まるで駄々をこねるかのように力がこもった。どうやら、離してはくれないらしい。
それなら。
「…どうしたの、バーボン」
いつもより少し柔らかい声音で問いかける。
びくりと肩が揺れた。
「アンタがこんなことするなんて、らしくないね」
畳み掛けたそれは、私の純粋な疑問でもある。
記憶の中のバーボンは、常に人との距離を置いていた。特に組織の人間に対しては顕著で、一線を引いて近寄らせないようにしている節がある。そしてそれは、私にもそうだったはずなのに。
返答をじっと待っていると、バーボンはしばらく逡巡してから、ぽつりと言った。
「…すみません」
「…答えになってない」
「……すみません」
…教えてはくれないか。
まぁ、そうだろうとは思ってたけど。
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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます！もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです！語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (
レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…！度々一人で悶えながら読んでます！面白い作品に出会えて私は幸せです(´；ω；｀)更新楽しみに待ってます！ (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです！書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…！ (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました！続き待ってます！更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです！特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ！ (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年6月25日 12時
