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Case.147 ページ34

どうにも、ボウヤ相手だとそのあたりの感覚が狂うのよね。

「悪かったわ、ボウヤ。何も、君の言うことを否定しようとは思ってないのよ。言うなればそう…職業病みたいなものかな」

私が扱う“情報”というものは、何よりも正確さが求められる。だからなのか、決定打にかけるうちは口に出すのを憚ってしまうのだ。

「だから、確信が得られたら話してあげる。…もっとも、その時は君も真実にたどり着いてそうだけどね」
「……つまり、口を出す気はないんだね?」
「さすがボウヤ。よく分かってるじゃない」

忘れてるのかもしれないが、私はただの一般人としてここにいる。
悲鳴が聞こえた時は条件反射で駆けつけたけど、捜査に参加するつもりも、ましてや協力するつもりも特にない。

「探偵が3人も揃ってるんだから大丈夫よ。私の得意分野が必要なら話は別だけどね」

だからよろしく。
そう言うと、ボウヤは私を動かすことを諦めたのか、渋々引き下がって大人しく熟考を始めた。
その様子を見守っていた零が、もう一度深くため息を吐く。

「君、改める気ないだろう」
「ふふ、ばれちゃった?」

悪びれもせずに笑えば、零は諦めたように片手で顔を覆った。


◇◇◇


さて、どうしたものか。

近くの壁にもたれて成り行きを見守っていると、外から新しい客が入ってきた。二人組の男性で、それぞれギターケースを背負っている。

「どしたの世良ちゃん」

蘭ちゃんの声に視線を向けると、真純ちゃんがその二人組をじっと見つめていた。

「……?」

私も一応観察してみるけど、どう見てもただの一般人だ。少なくとも事件の関係者でないことは間違いない。
なんだろう?
園子ちゃんに怪しんでるのかと聞かれ、真純ちゃんは苦笑をにじませた。

「いや、ギターケースを背負ってる人を見ると思い出しちゃうんだ。4年前、駅の向こう側のプラットホームに佇む、ギターケースを背負った秀兄をな!」
「……!」

その言葉に、私はわずかに目を瞠った。

「驚いたよ。アメリカに行ってると思ってたし、秀兄が音楽やってるところなんか、見たことなかったしな」

懐かしそうに目を細めて話し始める真純ちゃんは、どうやら予想以上に“あの日”のことを鮮明に覚えていたらしい。

「何度か電車を乗り換えた駅のホームで秀兄に見つかっちゃって。“帰れ”って怒られたんだけど、お金もないし帰り方も分からないって言ったら、"切符買ってきてやるから待ってろ"って、僕をホームに残して行っちゃったんだ」

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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます!もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです!語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…!度々一人で悶えながら読んでます!面白い作品に出会えて私は幸せです(´;ω;`)更新楽しみに待ってます! (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます!一気読み嬉しいです!書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…! (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました!続き待ってます!更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ! (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時

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