Case.132 ページ14
《あれ、もうユーヤさんがいる》
ピコンとチャットが飛んできて、僕はにやりと笑った。
《やぁナインさん。僕だって、いつも遅れてくるわけじゃないさ》
《へぇ、珍しい。明日は雪かな？》
《酷いぞ》
《あは、ごめん》
即レスはケラケラと笑われた。
《今日は仕事休み？》
《いや、あった。けど、最近かかりきりになってた案件がやっと落ち着いたから、上司にいい加減休めと言われてしまって》
東都水族館の一件から、約2週間。
公安部の忙しさといえば、地獄と言っても過言ではなかった。
山となった報告書を捌き、相次ぐ不平不満を叩き潰し、極めつけは公安お得意の隠滅作業だ。
部下は軒並み幽鬼と化したし、自分も死ぬかと思った。
ちなみに、降谷さんはあれ以来、公安には一度顔を出しただけだ。敢えて接触は控えている為、指示や連絡は基本電話を使用している。おそらく、声だけで疲労が伝わってしまったのだろう。
《ああ、あの料理上手の》
《念のため言っておくが、本当に男性だぞ。なんなら念願叶って、例の女性とお付き合いをされている》
一応釘を刺してみたら、返信が一瞬止まった。
《ホントに男だったんだ》
《まだ疑ってたのか》
どうやらあの時のやり取りでは、完全に疑いを払拭できていなかったらしい。
《だってほら、好きな人に好きな人がいて、自分は相手の恋を応援しながら静かに身を引く切ないラブストーリーかもしれないじゃん》
《どこのマンガだそれは》
《あは。でもまぁ、これでユーヤさんも一安心？》
《そうなるかな。元々僕に心配されるような方ではないから、本当に僕の自己満足みたいなものだけど》
――あの人は目的を達成するためなら自分の身をかえりみないような無茶をする
――それが心配でね
勝算のない無茶はしない人だが、勝算があるならどれほど低い確率でも実行する。自分が心配しているのはそこだ。
だが降谷さんには、その低い確率で勝ちを掴み取るだけの実力がある。そのおかげで、今までの自分の心配はすべて杞憂に終わってきた。
《ユーヤさんって、ホントにその上司の事尊敬してるよね。勤務形態はすごくブラックなのに》
《一言は余計だ。ナインさんだって、仕事の入り方は似てるって言っていたじゃないか》
在宅とはいえ、突然仕事が舞い込んでくるのは同じだと言っていたはずだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます！もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです！語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (
レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…！度々一人で悶えながら読んでます！面白い作品に出会えて私は幸せです(´；ω；｀)更新楽しみに待ってます！ (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです！書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…！ (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました！続き待ってます！更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです！特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ！ (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年6月25日 12時
