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そうやって、人がせっかく努力をしているというのに。
「…どうしてそうなってるんですか…」
頭を抱える僕の目の前。
いつもの如く、リビングのソファでくるりと丸くなったギムレットが、ブランケットに半分埋もれている。
いつもと違うのは、そのブランケットの山の中に新顔がいることだ。
「僕の上着…」
「あー…見事に枕にされてるなぁ…」
無造作に引き寄せられた上着の上に頭を乗せ、ギムレットはすやすやと寝息を立てていた。
隣のスコッチが、困ったように眉を下げて笑っている。
こっちは全然笑えない。なんなら崩れる。何とは言わないが色々と崩れる。
確かに、ギムレットがいることに気づかず、上着をソファの背もたれに引っ掛けて放置した僕が悪い。だけど、目を離した時間は数分にも満たない。
もっと言うと、すぐ隣にはスコッチのパーカーも掛かっていた。が、そちらは触れずに放置されている。
しかも、取り返すのすら躊躇うくらいに気持ち良さそうに眠っている。
僕の上着枕をそんなに気に入ってくれたのか――じゃなくて。
「…あの、ギムレット。それ返してください…」
遠慮がちに上着を引っ張るが、遠慮しすぎているのかびくともしない。かと言って、彼女を叩き起こすのも忍びない。
どうしよう。
そこへ、階段を降りてくる足音が聞こえた。スコッチが、あ、と声をこぼす。
「おはよう、ライ。…あれ、今日の下見はライフル持ってくのか？」
「…今回は狙撃ポイントが狭い。…一応だ」
「あー、そっか。じゃあ俺も持っていくか…」
「別に合わせなくていいだろう」
「いや、俺も予備戦力だし。それに、もう1人ギターケース持ってた方がカムフラージュになるだろ？」
足早に自室へ戻っていくスコッチを呆然と見送ると、バチッとライと目が合った。
「…お前はそこで何を…」
言いかけて、ギムレットの枕が僕の上着だと気づいたらしい。ライトグリーンの瞳が僅かに見開かれたような気がした。
「…スコッチが戻るまでに引っ張り出せ。間に合わなければ置いていく」
「…分かってますよ」
ぼそりと答えると、ライはさっと背を翻して玄関へ向かっていく。僕は再びギムレットに視線を落とした。
ライなんかに言われずとも分かっている。これから任務なのだ。絆されてなんかいられない。
無理にでも取り返そう。
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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます！もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです！語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (
レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…！度々一人で悶えながら読んでます！面白い作品に出会えて私は幸せです(´；ω；｀)更新楽しみに待ってます！ (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです！書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…！ (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました！続き待ってます！更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです！特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ！ (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年6月25日 12時
