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Case.140 ページ22

「仕事お疲れ様、零」

そう言って助手席に乗り込むと、運転席の零が突然神妙な顔つきになった。

「…その袋からすごく空腹を刺激する匂いがするんだが」
「ラーメン小倉の餃子と炒飯。テイクアウトさせてもらったから、アンタの家で食べるわよ」
「え、でもラーメン食べたんだろ?大丈夫か?」

零も量が気になるらしい。
皆気にするところは同じなのね。

「どこかの誰かが誘いをドタキャンしたせいでやけ食いしてたのよ」
「…それは本当にすまない」

皮肉を込めて言ってやったら、思いの外堪えてたのか、だいぶ気落ちした謝罪が返ってきた。

「もういいわよ。会う時間を作ろうと頑張ってくれたのは分かってるし。零のそういうところ、結構好きよ」

手を伸ばして、さらさらとした金髪を梳きながら頭を撫でる。大人しくされるがままになっているのを見るに、どうやらだいぶお疲れらしい。

あの日からほとんど休んでないはずだし、さすがの零も堪えるか。
この男も人間だなと思ってると、唐突に頭を撫でていた手を掴まれた。

…うん?

なんだかちょっと力が強い。痛くはないけど、解けそうにない。
零の蒼い瞳が真っ直ぐこちらを見た。

「A、キスしたい」

ふざけるな。こちとら餃子を食べた後だ。

「絶対に嫌―――んんっ!」

問答無用で体を引き寄せられて、拒絶の声ごと唇を塞がれる。
抵抗するほどの長さもなく解放されたけど、ぺろりと唇を舐めた零が餃子の味だと笑ったので、渾身のストレートを叩きこんでやった。

痛みに悶絶してたけど、左手だったことに感謝してもらいたい。

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胡蝶(プロフ) - 藍色さん» コメントありがとうございます!もったいないお言葉です…が、とてもとても嬉しいです!語彙力捻り出しながら書いた甲斐がありました…。書くのが遅い上に煮詰まっていて遅筆に拍車がかかっておりますが、どうかお付き合いくださいませ。 (2022年8月17日 13時) (レス) @page14 id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - 作者様のキャラの感情表現、文才能力が凄すぎます…!度々一人で悶えながら読んでます!面白い作品に出会えて私は幸せです(´;ω;`)更新楽しみに待ってます! (2022年8月16日 3時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - ねるさん» コメントありがとうございます!一気読み嬉しいです!書くのが遅くてお待たせしておりますが、頑張って更新いたします…! (2022年8月9日 15時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
ねる - 一気読みしてしまいました!続き待ってます!更新頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) @page27 id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!特に二幕はデレ期のつもりなので…距離感を詰めていく様子にお付き合い下さいませ! (2022年7月14日 20時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年6月25日 12時

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