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差し出したそのUSBメモリは、漏洩した情報を消すためにギムレットから渡されたものだ。端末に差し込めばウイルスが広がり、該当の情報は削除される。
そこで、はたと気がついた。
え、これか?
僕の表情で察したのか、スコッチもああ…と苦笑いしている。

「そう、それ。GPS仕込んでるから、どこにいるかくらいは分かる」

そしてその場所の拠点に設置された監視カメラをハッキングしたと、そういうことか。

「随分と用意周到ですね」
「盗みたがる人間が多いから、追えるようにしてるだけ。別にアンタ達を信用してないわけじゃないから、気にしないで」
「…そうですか」

皮肉にすら淡々と答えられ、なんだか毒気を抜かれる。確かに、あのギムレットが使っているというだけで価値がありそうな気がしてくるから、まるでブランドだ。
いや、そのものだな。
以前、情報源がギムレットではないと知った途端、機嫌が悪くなった依頼者がいた。それほど、彼女の名には確実性があるのだ。

「有名なのも困りものですね」

USBメモリを受け取り、彼女は使っていたノートパソコンに差し込んだ。

「…ん、完璧」
「どうも。それはそうと、ライを知りませんか?任務終了後に落ち合う予定だったんですが…」
「とっくに帰ってきて、もう部屋に上がってったけど」

…あの野郎。

「まぁまぁバーボン。落ち着けって」
「…団体行動もできないとは、本当に協調性に欠けますね」

なんなんだアイツは。仕事の質は落としたくないとは言ったが、こちらにも限度というものがある。
こみ上げてきた怒気を必死に腹の底へ押し返していると、スコッチが部屋に戻ろうなぁと言ってそそくさと背中を押してきた。どうやらバーボン的にだいぶよろしくない形相をしているらしい。ふざけるなよライめ。

「あ、そうだギムレット。まだ作業するなら何か夜食作るけど、食べたいものあるか?」

すると、ギムレットは少し悩むそぶりをしてから、思いついたように立ち上がった。

「こっち」

スコッチの袖を引っ張って、有無を言わさずキッチンへと連れて行く。

「えっ、…え?あ…バーボン先に部屋戻ってる…?」

おろおろしているスコッチを、ギムレットと2人にするのはどうにも見過ごせない。

「…僕も行きます」

仕方なく後に続くと、ギムレットはキッチンの戸棚の奥を漁り始めた。そうして取り出したものを、ぱしっとスコッチに押し付ける。

「これ、作って」

僕とスコッチは、思わず顔を見合わせた。


『これ…?』

.→←Case.Gimlet



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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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