微睡みに落ちる２【降谷零/安室透】

Case.61 ページ23

購入したクッションは、それぞれ工藤邸へ配送手続きをしておいた。
住所書いてる時、さりげなく背後に近づいてきたからひと睨みして追い払った。
曰く。

『好きな相手の住んでいる家は知っておきたいだろ』

そう宣う顔から察するに、本音と建前は3：7ね。
秀一の件は随分と根深いみたいだし、FBIの情報も入手したいんだろう。あわよくば秀一の潜伏先を知りたいに違いない。ボウヤの頑張りは聞いているし、まだ知られるわけにはいかないわね。
他にも気に入ったものは言えと言われたので、遠慮なくショッピングを楽しませてもらった。
そんな私達が今いる場所は───

「ヘイ、閻魔大王ラーメン2つ！」


そう───ラーメン屋だ。


ゆらゆらと湯気が昇るどんぶりからは、醤油の香ばしい匂いが漂ってくる。
手を合わせていただきますと呟くと、つるりと麺をすすり込んだ。

「おいし！」
「そうでしょう？」

得意気な顔で返事をしてくる零をきっぱり無視して、無心になって箸を動かす。店の名前が【死ぬほどヤバイラーメン屋】だったからネーミングセンスを疑ったけど、これは看板に偽りなしだ。死ぬほどヤバイ。

「おう、気に入ってくれてありがとよ。…けど安室さん、デートのシメがうちの店で本当に良かったのかい？」
「ええ、問題ありません。彼女は日本のラーメンが大好きなので」
「………」

心配そうな店主に、零が安室スマイルを貼り付けて安心させる。それを横目で見ながら、私はごくりとスープを飲み込んだ。

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