Case.57 ページ19
その時、イヤホンからコール音が流れてきた。
───きたか。
電話の相手は風見だろう。やっと爆弾を見つけたか。
「──状況は」
いつもの調子で呼びかけると、一瞬間を開けて大きなため息が聞こえた。
《…ブラウンのキャスケットに、グレーのジャケット》
「………は？」
聞こえてきたのは、聞きなれた部下の声ではなく。
A…！？
《身長170�兪宛紊涼棒�で、10分ほど前に立ち見の人混みに紛れた》
「ちょ、ちょっと待ってくれ…！」
朗々と語られる特徴を記憶しつつも、思いがけない相手からの電話のおかげで驚きが勝った。
どうして彼女が…！
《何よ、どうせ公安の案件でしょ。こっちは爆弾解体中で手が離せないの》
「………」
まさかの返答に絶句する。
見つけたのか爆弾。しかも解体中ときた。
「…どうして君がそんなことに？」
《見つけたのはただの偶然。でも、おかげで納得がいった。どうしてアンタが、私とのデートを中断してまでボウヤ達に付き添おうとしたのか》
「…すまない」
《………》
仕事を優先させた事に後悔はないが、罪悪感はある。初めてのデートがこれでは、さすがに呆れられただろうか。
《…言っておくけど、私もアンタ達公安と似たようなもんなの。こんな状況じゃ仕方ないことくらい理解できるし、私がアンタの立場でもそうしたわ》
「…だが、」
それでは僕の気がおさまらない。しかも、成り行きとはいえ爆弾処理をしているという。関わらせまいと伝えずにいたのに、結果的に一番危険なことをさせてしまった。
《だったら、ちゃんと埋め合わせして。それで許す》
「…ああ、分かった」
この件が秘密裏に終われば、とことんショッピングに付き合おう。とりあえず、迷っていたクッションは両方購入する事が決定した。
《じゃあ、そろそろ切る。会場内のトイレ近くにある休憩スペースに人をよこして。一般客が近づかないようにガードして欲しい》
「了解。残り時間は？」
《20分程度。多分、ショーのクライマックスと同時に爆発させるつもりだったんでしょうけど…そんなことはさせないわ。15分で片をつける》
「ふ…頼もしいな」
こんな状況で笑えるほど、彼女の言葉には力がある。味方にして、これほど心強い相手はそうはいない。
「分かった、君が見た男はすぐに見つける。そっちは君に任せるよ、A」
《OK》
短い返事を最後に、通話はぷつりと切れた。
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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました！ (2022年8月2日 2時) (
レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます！修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…！ (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです！更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください！ (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月19日 5時
