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Case.48 ページ8

「そろそろランチのオーダーも終わりの時間ですが、僕の作ったボロネーゼはいかがですか?」

にっこりと顔に貼り付けた安室スマイルを振りまきながら、零は私の座るテーブルへやって来た。

「オムライス」
「…梓さんの定番メニューですね」
「そうね。あと食後にコーヒーお願い」
「…かしこまりました」

しょぼんと肩を落として帰っていく。
いい気味。
ぺらりと本のページをめくりながら、その背中を盗み見る。

零に嵌められてから、週に3回くらいの間隔でポアロに顔を出している。
毎回周囲に伝わるほどのアプローチをかけられるから、ポアロの常連は元より、安室透狙いだった女子高生達が奴の片想いを拡散しまくり、物珍しさに私のことを見に客が集まるほどになってしまった。
外堀から埋める気満々じゃないの…!
おかげで糖度高めのアプローチに慣れてはきたけど、周りからの生温い視線が鬱陶しい。

零のことが嫌いなわけじゃないけど、わざわざ逃げ道を塞いでくるやり方に屈するのは癪なので、せめてもの抵抗で零の担当料理は注文しないことにしている。
それでも、奢りだからと持ってくるデザートが私好みの物ばかりで断れないのが悔しいところだ。

「あ、今日はAさんも来てたんだ!」

にっこりと無邪気な笑顔を振りまいて、今度は眼鏡のボウヤがやって来た。

「…ボウヤ、店の外で私がいるかどうか確認してたでしょう。下手な演技はやめてくれる?」
「安室さんと進展あった?」
「聞けよマセガキ」
「Aさんて、たまに言葉遣いすっごく悪くなるよね」

余計なお世話だ。
ここの2階に住んでるのをいいことに、このボウヤは頻繁にポアロへ顔を出してくる。

「ボウヤこそ、浮ついた話はないの?大人の恋愛事情に首を突っ込むくらいには男の子なんでしょう?」
「へっ!?」

素っ頓狂な声が上がった。まさか自分に振られるなんて思っていなかったらしい。そういう思考回路は子供だな。

「ぼ、僕のことはいいでしょ?Aさんと安室さんの進展の方が気になるなぁ?」
「私はボウヤの話の方がおもしろそうだと思うけど。頭が良くて、運動神経も良い。それでいて顔まで良いならモテモテでしょ?」
「そ、そんなことないよ…」
「えー、私も気になるー!」

そこへ、きらきらと瞳を輝かせて混ざってきたのは梓さんだった。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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