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Case.70 ページ36

「それは…?」
「サンドイッチだ。君のことだから、まともに食べていないんじゃないかと思ってね。結構多めに作ったから、他の奴らが戻ってきたら食わせてやれ」
「ありがとうございます!」

渡されたタッパーを開けると、おいしそうなサンドイッチに思わず腹が鳴る。

「し、失礼しました…」
「その様子なら心配いらないな」

降谷さんは笑いながら隣の空席に座り、積み上がっていた書類を取り上げた。

「あ、それはまだ未確認で…」
「分かっている。少し見ておくから、僕のことは気にせず食べるといい」
「すみません…では、いただきます」

有難いお言葉に甘えて、サンドイッチをかじる。
う、旨い!
さすが降谷さんお手製。すきっ腹にこれは沁みる。

「そういえば、この前のデパート爆破未遂の報告書はどうなってる?」
「それでしたら、ちょうど部下に作らせています。おそらく今日中には上がってくるかと」

ちなみに、その部下は今仮眠室で生気を取り戻している最中だ。

「爆弾処理についてはどうした」
「一応、自分の名前を使わせていますが…」

やはり、降谷さんが聞きたかったのはそれだろう。
理由は明解。


あの日、爆弾を解体したのは我々公安の人間ではない。


──ギムレット…いや、九条Aが爆弾の解除にあたっている


降谷さんからその名を聞いた時、自分は思わず息を呑んだ。
4年前から行方を追っていたギムレットが、実はFBI捜査官だったという話は聞かされていた。だが、名前を聞くと未だに身構えてしまう。

「君の名前か。なら、今後この手の案件は君に回ってくるかもしれないな?」
「…勘弁してください」

冗談交じりに言ってくれるが、降谷さんに言われるとありえそうで怖い。
やれと言われればもちろん対処するが、それは緊急時に限る。

「…それで、解体後のものは見たか?」
「っ、」

咀嚼中だったサンドイッチをごくりと飲み込み、確認に向かった時の光景を思い出す。

「はい。…正直驚きました」

あの爆弾はかなり複雑化されていて、とてもじゃないが15分で解体できる代物ではなかった。降谷さんならあるいは…と思わないでもないが、実際はどうか分からない。

「近くで見張っていた部下の話では、まるで図面を知っているかのような迷いのなさだったと言っていました。ついでに分解までされていたので、引き渡しの際は爆処の隊員に二度見されましたよ」

一応、いかにも自分がやりましたという顔をして凌いだが。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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