微睡みに落ちる２【降谷零/安室透】

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「…それで、そちらはまだ起きないんですか？」
「うーん…声はかけてはいるんだけど、全然だなぁ」

困ったように笑うスコッチは、目の前のソファに視線を落とす。そこには、ギムレットが小さく寝息をたてて眠っていた。

「僕が言うのもなんですけど、毎朝これだけ騒いでいるのによく眠っていられますよね」

ソファの上で小さく体を丸めて眠る様子は、さながら猫のようだ。体半分はブランケットに埋もれているので、初めは全く気づかなかった。

「いい加減放っておけばいいだろう」
「同感です。昼頃には起きているようですし、わざわざ気にかける必要はないでしょう」

仕事から戻ると、ソファはいつももぬけの殻だ。おそらく自室にいるのだろう。起きているのを見るのはだいたい夜なので、生活リズムが夜型なのかもしれない。

「そうかもしれないけど…一緒に生活してるわけだし。それにこの子、ご飯用意したらちゃんと食べてくれるんだよ」

スコッチ曰く、キッチンに夜食を置いておくと翌朝なくなっているらしい。律儀に洗い物まで済ませてあるのだとか。

「俺のせいで初日に機嫌損ねちゃったし、お詫びのつもりで始めたんだけど…案外良い子なのかなってさ」

そう言って、スコッチは再びギムレットに声をかけ始める。

「……それって」

視線を泳がせると、ばちりとライと目が合う。ヤツはそのもの言いたげな目をそれとなくそらして、代わりにコーヒーを一口飲んだ。
どうやらこいつも僕と同意見らしい。


それ、餌付けって言うんだぞ。


聞かれたらあとが怖いので、絶対に口には出さないが。



ちなみにその後。

スコッチは半分目覚めたギムレットにブランケットを投げつけられてひっくり返り、ギムレットは何事もなかったかのような顔で二度寝した。

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