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Case.41 ページ49

「…Aさん、もしかしてそれ…?」

どうやらボウヤはパスケースの中身を知ってるらしい。
この子は年齢に見合わず本当によく知ってるわね。

「…そ。これを取り返したくて1週間も通ったのよ…本当に最低…」
「だってこうでもしないと、Aは僕に会ってくれなかったでしょう?」
「当たり前でしょ!?あんなこと言われたら気まずくもなるわよ!」

むしろ身の危険を感じたわ。

「あんなことって?」

女の子のきょとんとした純粋な目がこちらを向いた。

「…えっと」

そろりと目が泳ぐ。バチッと零と目が合うと、奴はさも無害そうな顔でにこりと笑った。


『この男にギラギラした目で“絶対に落とす”って言われたのよ』


──なんて、こんないたいけな少女に言えるわけない。

「お姉さん?」

こてんと首まで傾げられて、さらに何も言えなくなる。

「その…あんなことっていうのはね…」
「僕が彼女に告白したから、困らせちゃったんだよ」
「……は?」

こんなところで堂々と何言ってんのコイツ?

「えっ!2人とも、恋人同士ではないんですか!?」
「君も何言ってるのかな!?」

どうしてそうなったの!?てか、なんでこんなところでこんな話しなきゃならないの!?
前にポアロで高校生が騒いでたことはあったけど、あの時は無視できる状態だったからまだ良かった。でも、さすがに子供相手にそんな真似はできない。
ボウヤ助けて。君のスクールの友達でしょ、なんとかして。
ちらっとボウヤに目配せしたら、ニヤニヤ笑うだけで何もしてくれなかった。このマセガキ。

「えー、違うの?歩美、絶対そうだと思ったのに」
「美男美女で、お似合いだと思いますけどね」
「姉ちゃん、なんで安室の兄ちゃんと付き合わねぇんだ?」
「ありがとう君達。もっと言ってやってくれるかい?」

勘弁してほしい。
ダメだ、とりあえずこの男を追い払わなければ。

「…透。ランチのオーダーいいかしら」
「はい、もちろんです。ハムサンドですか?」

抜かりなくオーダー表を構えた笑顔が恨めしい。

「…カラスミパスタ」
「え?」
「梓さんの作った、カラスミパスタ」

そう言って、さっさと戻れとカウンターを差す。零はいかにも残念そうに肩を落としてオーダー表を書き込むと、梓さんにカラスミパスタ1つとオーダーを通した。

「どうして僕の作ったものではダメなんですか」
「うるさい。いいからさっさと戻りなさいよ。梓さん忙しそうじゃない」

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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時

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