Case.39 ページ47
驚いて顔を上げると、零はもうテーブルを離れていた。口をつけると、懐かしい味にほっと息をつく。少し甘いから、蜂蜜も入ってるんだろう。
こんなところまで上手になっちゃって…。
前にスコッチが、バーボンは凝り性だと言ってたのを思い出した。興味を持てばとことんこだわるのだと。
いつから料理を始めているのか知らないけど、この前食べた和食フルコースを考えれば、それなりに長いのは間違いない。簡単なものくらいなら私も作れるけど、さすがにあんなのは無理だ。
「ん…」
ハーブティーを飲むうちに、うとうとと微睡んでいたらしい。特にカモミールはそういう作用がある。
ああ、そういうことか…。
カウンターではなくテーブルに案内されたのも、端席のシート側に座らされたのも、私が寝やすいようにという配慮だったらしい。
壁にもたれて目を閉じる。カモミールの香りで気が緩んでいたのか、意識は一瞬で遠ざかっていった。
──あれ、Aさん？
──どうしてここに…
なに…？誰か呼んでる…？
──コナン君、このお姉さんのこと知ってるの？
──お知り合いですか？
──すっげぇキレーな姉ちゃんだな！
…うるさいな。子供の声だ。徹夜明けなんだから、もう少し寝たいのに…。
──やぁ君達。悪いんだけど、少し静かにしてあげてくれるかい？
──彼女、昨日寝ていないみたいだったから
こっちはバーボンの声だ。…ああ、違う。今はそうじゃなくて…そう、ここは外だから…。
「とおる…」
そうだ、透だ。本名じゃなくて、今はそっちで呼ばないと。
──あ、すみませんA。起こしてしまいましたか…？
──…寝言みたいだね
──安室さんとお姉さん、お互い名前で呼んでるんですね
──もしかして、安室さんの彼女さんなの？
──これ君達。静かにと言われておるじゃろう…
「んん……うるさ…」
ああ、高い声って頭に響くんだよね…。でもまだ…眠い、なぁ…。
──ほら、起こしちまったろ。静かにしてろって
──はぁい…
──ブランケット、落ちちゃいましたね。かけなおしますよ
…あれ、なんだろうこの香り…なんか、落ち着く…。
──A、まだ大丈夫ですから、もう少し寝ていていいですよ
「ん…」
そっか。じゃあ、もう少し寝ようかな…。
───おやすみ
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年5月19日 23時) (
レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー！ (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月18日 2時
