Case.38 ページ46
しばらくすると、梓さんがモーニングを運んできてくれた。
「おはようございます、Aさん。やっと安室さんに会えましたね！」
「おはよう、梓さん。…そういえば、あれからちょうど1週間だったわね…」
シフト通りに来てくれたのはいいが、どうやって取り返そうか。
さっき受け止められた時に軽く探ってみたけど、身に着けてはいなかった。
ロッカーに置いてあるとかならいいんだけど、家にあるなんて言われた日には覚悟を決めるしかない。
「…あれ、ドリンクがないけど…」
いつも食事と一緒にコーヒーを持ってきてくれるのに、テーブルに乗っていない。
「あ、すみません。今日は食後にお持ちしますね」
「そうなの？分かった」
梓さんが天然で忘れてるのかと思ったけど、どうやら違ったらしい。
小さくあくびをして食事を始める。1週間ポアロに入り浸ったおかげで、珍しく三食食べる生活が続いてる。せっかく調子が良くなったような気がしてたのに、徹夜だなんて台無しだ。普段睡眠欲には忠実でいる分、徹夜をするのはかなりストレスがたまる。
食事が終わる頃、ふと店内を見てみるといつもより人が多いことに気が付いた。
そっか、今日って休日だっけ。
なら、ランチはかなり混んでくるかもしれない。そうなると、IDカードを取り返すのはちょっと難しくなる。
「どうしようかな…」
「何がですか？」
「っ！？」
真上から声をかけられて、文字通り体が飛び上がった。
びっくりした…！
心臓がばくばくしてる。訓練されてて本当に良かった。そうでないと悲鳴が出るところだった。
「気配消して近づいてこないでよね…！」
こんなの心臓に悪すぎる。すると、零は心外だと肩を竦めた。
「貴方なら、これくらい気づけるはずですよ。…やっぱり寝てないな」
「う…」
気づいてたんだ。
なんとなく零の目を見れなくて、逃げるように顔をそむけた。
「そもそも、出会い頭にぶつかるなんて普段の貴方ならありえませんからね。それが鈍るのは大抵寝不足が原因だと知っているくらいには、貴方のことを分かっているつもりです」
そう言うと、零はトレイに乗せていたティーカップをテーブルに置く。
「僕は逃げたりしませんから、それを飲んでゆっくりしてください。お代はサービスしておきます」
「これ…！」
カップから漂ってきた香りには覚えがある。
カモミールティーだ。しかもミルク入り。
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年5月19日 23時) (
レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー！ (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月18日 2時
