Case.2 ページ4
この近くで待機してるって話だったけど…どこかな?
手に持ったフラッペをくるくると混ぜながら辺りを見回す。
…あ、いた。
「ジョディ」
声をかけると、路肩に停めた車の隣で、彼女はパッと顔を輝かせた。
「A!」
「ごめん、待った?」
「大丈夫よ。それより、さっき遠くの方で騒ぎがあったみたいだけど…」
「ああ、ひったくり。バッグぶつけて気絶させたし、警察も呼んでるはずだから大丈夫よ」
肩を竦めてみせれば、ジョディには相変わらずねと冷やかされた。
「さ、とりあえず乗って。話はそれからよ」
「OK」
後部座席のドアを開けて乗り込むと、見知った顔が座っていた。
「日本に居たんですね、ジェイムズ」
「ああ。数ヶ月ほど前から、赤井君の要請でね」
「そう…ですか。…ライの」
“ライ”
そのウイスキーの名前は、赤井秀一が組織にいた頃のコードネームだ。
「もう…Aもそろそろ、シュウのこと名前で呼んだら?」
「だって…私の知ってるアイツはライなんだもの」
とにかく無愛想でいけ好かない男だった記憶しかなくて、あんまり良い印象がない。
まぁ、それについては私も人のこと言えないんだけど。
「…で、本当なんですか?…あの話」
今は呼び方なんてどうでもいい。本題はこっちだ。本国に戻っていた私を、日本へ呼び出した理由。
「本当だ。君にはしばらく日本に留まり──」
「赤井君のサポートに回ってもらう」
はっきりと告げられたそれに、私は大きく息を吐いて脱力した。
「…本当に生きていたんですね、アイツ」
「彼はそう簡単に死ぬような男じゃない。君も知っているだろう」
「そうだとしても、あそこまで徹底されては捜査もできません。本国では十分な資料もありませんでしたし、…何より、あの言葉は演技とは思えなかった」
ライが殺された映像は、私も何度も見返した。
──まさか、ここまでとはな…
──ええ…私も驚いたわ
ライがキールに放ったあの言葉は、自分の死の不運を嘆くものだと思っていたのに。
「とりあえず、道すがら詳細を聞かせてください。必要な情報は、アイツに会うまでには叩き込みます」
「君ならそう言うと思ったよ。ジョディ君、車を出してくれ」
「了解」
静かに車が動き出す。車道に乗ったところで、ジェイムズがさてと切り出した。
「まずは順を追って話そう」
そうして、日本での任務が始まった。
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時