Case.26 ページ28
小学校からの帰り道、子供達の数歩後ろを灰原と歩く。
「…ねぇ、ちょっと」
隣から袖を引かれ、灰原が訝しげな視線を寄越してきた。
「貴方、朝から上の空だけど…どうしたのよ」
「あー…」
Aさんのことで、色々考え込んでたからな…。
「まさか、組織の新しい情報が入ったんじゃないでしょうね？」
「え、いや、そういうわけじゃない…けど」
「……何その煮え切らない答え」
じとっと視線をぶつけられて、どうしたもんかと目を逸らす。
でも、灰原なら潜入してた頃のAさんについて知ってるかもしれねぇよな。
「えと…ちょっと聞きたいんだけどよ……お前、ギムレットって知ってるか？」
その瞬間、目の色が変わった。
「あの人、見つかったの！？」
「うぇ！？」
血相を変えた灰原にがしっと肩を掴まれて、思わず体が固まる。
「生きてたの！？今どこにいるの！？」
「お、おいおい…落ち着けって」
慌てて引き離すと、灰原はハッとしたように目をうろつかせた。
「…ごめんなさい」
「いや、別に…でも、知ってるんだな」
「…ええ。さほど詳しくはないけど、薬を処方するついでに、よく話してたから」
薬？
「…どこか悪いのか？」
昨日見た限りでは、体を悪くしてるようには見えなかったけど…。
敢えて言うなら食生活が酷そうだけど、赤井さんがそれなりに自炊してるし、少しは改善されるだろう。
「病気じゃないわ。彼女に渡していたのは避妊薬よ。…彼女、ジンとそういう関係だったみたいだから」
「なっ！？」
一気に顔が茹で上がったのが分かった。
なんだそれ！？
「それ…ジンの恋人だったってことか…？」
「違うわ。彼女、ジン嫌いで有名だったもの。そもそも組織に入ったのだって、ジンの暗殺に失敗したのがきっかけだって話よ」
「はぁ…？」
自分を暗殺しようとした相手を手籠めにして、部下として管理下に置いたってことか？
理解できねぇ…。
「それだけ、組織は彼女の能力を高く買ったの。実際、彼女にハッキングと諜報活動をさせれば失敗はなかったから。それに、目的がはっきりしている人間ほど信用できる。…まぁ、ジンが彼女をあれほど気に入るとは思わなかったけど」
「………」
相変わらず理解はできねぇけど、これで色々と繋がったな。
Aさんが言っていた“予想外の事態”っていうのは、ジンに気に入られたことなんだろう。
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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年5月19日 23時) (
レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー！ (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年5月18日 2時
