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Case.22 ページ24

「Aさん…!?」

おそるおそる近づいてみるが、起きる気配はない。着ているニットがところどころ汚れているのは、安室さんから逃げる時に付いたんだろう。裸足だったのか、足裏を少し怪我している。
Aさんが、新しいFBI捜査官…?
組織の関係者だと思ってたけど、もしかして赤井さんや安室さんのように、黒ずくめの組織に潜入してたのだろうか。だとすれば、安室さんと知り合いなのも、4年も行方をくらますことが出来たのも説明がつく。

「なんっだよ…俺の取り越し苦労じゃねぇか…!」

一気に脱力して、ソファの前でへたり込む。机に寄りかかって、ぼんやりとAさんを見つめた。
こうやって改めて観察すると、Aさんってちゃんとハーフっぽい顔立ちしてんだな。
顎や鼻はシャープな形をしているし、透明感のある栗色の髪は地毛だろう。肌の白さから見ても、白人の系統なのが見て取れる。でもって、どこから見てもやっぱり美人。

「ボウヤ、彼女は起きたか?」
「あ、いや…まだ寝てるよ。…新しい捜査官ってAさんだったんだね」
「…彼女を知っているのか?」

さすがに驚いたのか、片目が開いている。
一応この人にも話しておくか。

「実はね───」

園子がひったくりから助けられたことや、そのお礼でポアロに連れていき、さらには安室さんが連れ去ったことを伝えると、赤井さんは口元を押さえてなるほどと呟いた。

「つまり、コイツの災難の始まりは散歩ということか」

そう言って、Aさんが寝ているソファのひじ掛けに寄りかかり、彼女の顔にかかった髪を耳にかける。
その仕草が絵になるなと見惚れた瞬間、Aさんの頬を手の甲でぞんざいに叩いた。

「そろそろ起きろ。ジェットラグはもう抜けてるはずだぞ」
「んんん……うるさい…」

顔をしかめて、もぞもぞと体の向きを変える。

「いい加減にしろ、A。…ボウヤが来ている」
「…ん、」

ぱちっと開いた薄いグレーの瞳がこっちを向く。
あれ…この人、さっきまで瞳の色はブラウンだったよな。
どうやらカラコンを入れてたらしい。グレーの瞳は人目を引くから隠してたんだろう。

「やぁボウヤ。さっきはよくもバーボンの店に連れて行ってくれたわね?」
「え、あ、あはは…バレてた…?」

思わずたじろぐと、Aさんは体を起こして不機嫌そうに髪をかき上げた。

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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時

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