経理部の大瀬さん[赤] (ページ2)

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私はイーブン先輩とちゃっかりした後輩に挟まれ、来る日も来る日も数字を打ち込む地味OLの大瀬A。

しかし、自分の部署から一歩外に出れば...

「お！Aちゃんお昼？俺も行こっかな！」

「大瀬！ちょうどよかった！取引先から貰ったお菓子もってくかー？」

「A！今日の夜空いてたら飲み行かないー？？」

総務、広報、営業。

男女問わず、あらゆる部署から声を掛けられる人気者なのだ。えっへん！

けれども私は誘いを笑顔で交わし、お目当ての彼の元へと急ぐ。

あ！！いたいた！！！

外回りから帰ってきた山田さんを見つけた。

山田「おー！おつかれA！！今から昼？」

『はい！偶然ですね！！良かったら一緒に食べ行きますか？』

山田「あーごめん！俺さっき外で食ってきちゃったわ！！」

と、申し訳なさそうな顔で謝られた。

なーんだ...。

『...それは残念です。寂しくぼっち飯行ってきまーーす。』

と悲しい顔して呟く。

山田「待て待て待て！分かった喫茶店とかなら！」

へっへっへ～ちょろいぜ！

『先輩ご馳走さまです！！！』と深々とお辞儀する私。

山田「いや待て！！俺は奢るなんて言ってない！」

『なーに言ってるんですか！営業部のエース！期待の星！』

山田「よし！！先輩がなーんでもおごってあげよう！！」

いぇい！！

やっぱりチョロいぜ！！と心の中でガッツポーズ。

時刻は12時20分。

喫茶店で向かい合わせで座る私たち。

山田の手元にはクリームソーダ。

『...可愛い100点。』

山田「え？なんて？？」

私の手元には大盛りナポリタン

『...可愛くない 0点』

山田「だから何て？さっきから怖いんだけどお前。」

『怖いって何ですか！！さては、可愛いの上位互換か何かですか？』

真面目な顔で一言。

山田「そういうところだよ！！
ほんとに大瀬って顔だけだよなー！！
みんなこいつにまんまと騙されてる。」

ズルズルと大盛りナポリタンをすする私。

先輩はちっとも騙されてくれないのにね。

山田「なんだよ睨むなよー。昼休み終わるぞー？」

ニカッと眩しい笑顔。

本当に名は体を表すんだな。

だとしたら私は大瀬ではなく、
大食 Aとかの方が良かったのではないか？

とくだらないことを考えながら目の前のナポリタンを光の速さですすった。