経理部の大瀬さん[赤] (ページ1)

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01.経理部の大瀬さんページ1

パチパチパチパチ

静かな部屋にキーボードを叩く音が響く。

「あー！数字が合わない！！」

ガラスの壁で囲まれた経理の部屋に突然、佐々木真夕の声が響いた。

「真夕ちゃん、もう少し小さな声でお願いできる？」

隣に座る森若は、騒ぐ佐々木をちらりと見るとまた自分のパソコンに視線を戻した。

佐々木「すみません森若さん！ちらり。」

『...そんな目で見つめないで。』

佐々木「Aしぇんぱい～。助けてください。」

私は佐々木ちゃんにこの顔をされると弱いのだ。

『えぇ～しょうがないなぁ～。』

と、ついついまた甘やかしてしまう。

佐々木「ありがとうございます！！」

私は自分のデスクから立ちあがると、佐々木ちゃんのパソコンの画面を確認した。

『んー...ごめん！すぐ分からないからお昼休憩の後でもいい？』

時刻は12時を回ったところだった。

佐々木「あ！はい！ありがとうございます！じゃ、お先にお昼いただいてきます！」

そう言って佐々木は嬉しそうに手に持ったお財布を振って出て行った。

『って準備早っ！！！このやろう、さては押し付ける気満々だったな！！』

ちゃっかりしてるわ、最近の子は！！！

パソコンにいたずらしてやろうか！

...まぁそれは流石に大人気ないからやめよう。

しばらくそんなことを考えながら佐々木のパソコンを見つめていると

森若「Aさんは真夕ちゃんに優しすぎるのではないですか？」

と、隣の席から一言。

『森若さんはクールすぎます。』

森若「クールではなく、イーブンと言っていただきたいです。自分の仕事は自分できっちりやるべきと思ってるだけです。」

『そんなんじゃ可愛い後輩から誤解されちゃいますよイーブン先輩。じゃ！私もお昼いただいて来まーす！』

森若「...。」

『あ、間違えました。森若先輩行ってきまーす！』

森若「行ってらっしゃい。」